「合格者数競争」から変化する大阪の塾市場
首都圏に次ぐ巨大受験市場を築く関西圏ではあるが、東京を中心とした中学受験ブームとは距離を置き、やはり市場の中心は、高校受験と大学受験だ。灘、東大寺学園、西大和学園、甲陽学院、大阪星光学院、神戸女学院など名門中高一貫校の名は全国に轟く一方、関西における中学受験の市場自体はまだそれほどではなく、過去最高を更新し続けているとはいえ全生徒における受験率は10%程度で推移。その中学受験市場では、関西全体で浜学園が圧倒的なシェアを誇るが、基本的には各府県の公立トップ高校の合格実績、そして京・阪・神の国立大、あるいは関関同立と呼ばれる私立大学群の合格実績が、塾勢力図のベースとなっている。
その中心に座するのが大阪の馬渕教室であることは、今や誰も疑いようがないだろう。一昔前までは、北野、天王寺、大手前をはじめとした大阪府内の公立トップ高校への進学実績を類塾と激しく競い合っていたが、2019~20年頃から類塾が脱落。今は府立高校の中でも最上位層を対象とした「文理学科」合格者の約半分を占めるなど、完全に馬渕教室が大阪市場を獲った形だ。
馬渕教室との競争が激化しすぎたことなどを背景に、類塾は難関高校の合格実績を追う路線から、探究型教育を重視する方向へ大きく舵を切った。探究活動や農園活動、社会課題型学習などを前面に打ち出し、「偏差値競争とは一線を画す塾」として独自色を強めている。
難関公立高校の合格者数という“見える数字”では馬渕教室に押されたものの、教育理念や保護者層の共感を重視するスタイルへ転換したともいえる。特に、画一的な詰め込み型指導よりも、思考力を重視した指導スタイルを好む生徒や保護者との相性が良いようだ。実際、北野などトップ校の独自入試に向けて、「自分のペースでじっくり学びたい」という生徒などから支持を集め始めている。
こうした類塾の変化もあり、現在の大阪では、馬渕教室が難関公立・難関私立の両方で圧倒的な強さを見せるようになった。
一方、大阪では他の大手塾もそれぞれ異なる領域で存在感を示している。