政治

「高市官邸から“火消し”は」「減税は正しいか」――世界的経済学者、ブランシャールからの応答【全文掲載】

2026年6月9日


<span>「高市官邸から“火消し”は」「減税は正しいか」――世界的経済学者、ブランシャールからの応答【全文掲載】</span>
IMFのチーフエコノミスト時代(2013年)のブランシャール氏 (C)REUTERS/Mike Theiler

「責任ある積極財政」のお墨付きを得ようと、政府は3月の経済財政諮問会議に米マサチューセッツ工科大学のオリヴィエ・ブランシャール名誉教授を招聘。しかし直後に日経が〈海外識者、高市政権の積極財政に注文〉と報じたことを受け、政府はブランシャール氏にSNSで“真意”を発信するよう要請までしたという。そこで週刊新潮は、ブランシャール氏に事実関係を尋ねた。2026年6月4日発売の週刊新潮の記事(新潮QUEで配信中)ではその回答の大要を紹介したが、本稿では、やりとりの全文を記載する。

経済財政諮問会議をめぐって

 注目を集めたのは、3月26日に開かれた経済財政諮問会議だ。政府は米マサチューセッツ工科大学のオリヴィエ・ブランシャール名誉教授と米ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授を招聘し、意見を聴取。世界的なマクロ経済学者である両氏から、政権が掲げる積極財政路線へのお墨付きを得たいとの思惑があったとされる。

 ところがその日の夜、日本経済新聞電子版が〈海外識者、高市政権の積極財政に注文〉との見出しで記事を配信。むしろ苦言を呈されたとの印象をもたれてしまったことに、首相は“話が違う”と激怒したという。

 政治部デスクによれば、

「木原稔官房長官は翌日の会見で“ブランシャール氏は『現在の政府方針は実行可能であり、自らの考えとあまり違いがない。ぜひ実行に移してほしい』と発言した”と紹介するなど、火消しに懸命でした。さらに官邸はブランシャール氏に連絡を取り、SNSで“真意”を発信するよう要請までしたというのです」

 たしかにブランシャール氏は自身のXに〈プライマリーバランスへの言及も、成長率や金利の変化を見据えた中長期的な財政計画という文脈でのものです〉などと投稿。日経の記事を事実上、修正するに及んでいる。

 週刊新潮はブランシャール氏本人にメールで事実関係を尋ねた。週刊新潮の記事ではその回答の大要を記載したが、本稿ではやりとりの全文を記載する。

ブランシャール氏とのやりとり

※やりとりは3往復にわたって英語で行った。下記はその日本語訳である。

――経済財政諮問会議でのあなたの提言について「高市政権の拡張的財政政策への批判」と報じた日経新聞の記事に高市早苗首相は不満を抱き、あなたにXで真意を投稿するよう求めたと、こちらは把握しております。(中略:ブランシャール氏のXへの投稿内容を記載)。この投稿は、高市首相官邸の要請を受けて行われたものだと聞いております。これは事実でしょうか。

(ブランシャール氏)断じて違います。誤解が生じているように思えたため、私の考えをできる限り明確に説明する必要があると感じたのです。これは私の信念です。

――この投稿の直後、3月31日付の日経新聞には、あなたへのインタビュー記事が掲載されています。このインタビューはどのように実現したのでしょうか。また、あなたが日経新聞のインタビューに応じるにあたり、高市首相官邸から、首相の経済政策を肯定的に評価するよう求められたことはありましたか。

(ブランシャール氏)なぜ私にインタビューの依頼があったのかは分かりません。滞在中、取材には応じる用意があると伝えていました。

――3月31日に掲載された日経新聞のインタビューで、あなたは高市政権の責任ある積極的財政政策は「正しい」と述べる一方、食料品の消費税率を2年間0%に引き下げる提案については、「政府とは少し意見が異なるかもしれない」と述べ、その理由を説明されました。この見解はその後変わりましたか。

(ブランシャール氏)変わっていません。現在の状況において、一時的な付加価値税の減税は良い考えではないと今も考えています(日本が景気後退に陥れば、そうなる可能性はあります。しかし、私が日本を訪れていた時点ではそうではなく、景気後退も予測されていませんでした)。

 続くやりとりは以下の通り。

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