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「党幹部ににらまれたらたまらない」――「高市人気」で復活も不満が渦巻く「旧安倍派」の現在地

2026年6月17日


<span>「党幹部ににらまれたらたまらない」――「高市人気」で復活も不満が渦巻く「旧安倍派」の現在地</span>
安倍元首相

自民党派閥裏金事件の震源地となり、2024年、25年の国政選挙で自民党大敗の一因となった旧安倍派が復権しつつある。今年2月の衆院選では「高市人気」にあやかり、落選していた議員らはほぼ復活。萩生田光一元政調会長ら元幹部らも次々に要職に起用された。「安倍派再結集」とまではいかずとも、緩やかな連携を模索する動きもある。ただ、裏金事件の「真相」を曖昧にしたことへの不満は派閥内外でくすぶっている。かつての最大派閥はどこに向かうのか。(文中敬称略)

旧幹部らの密会
 

「党内での扱いを正常化させるには、高市でいくしかない」――。

 昨年7月の参院選後、旧安倍派を取り仕切った「5人衆」のうち、松野博一、西村康稔、萩生田光一、世耕弘成の4人が秘密裏に会合した。大敗した石破茂首相の退陣が避けられない情勢のなか、出席者の一人が次の総裁として高市早苗を推すことを提案すると、他の3人も同調する姿勢を示した。

 4人の脳裏には、石破政権下で旧安倍派が徹底的に干され続けたという「危機感」があった。

 24年の衆院選では、旧安倍派を始め裏金に関わった議員らは非公認・比例重複なしでの出馬を強いられた。落選後も次期公認候補で資金も支給される支部長選任に「待った」をかけられることもあり、不安定な立場に置かれた。苦しい選挙を乗り越えた当選議員らも、閣僚や党の要職からは遠ざけられた。

 元幹部の一人は「昨年7月の参院選後の石破は解散に踏み切る可能性があった」と指摘する。石破氏が「政治とカネ」の問題に区切りをつけるために旧安倍派などの裏金に関与した議員を非公認にした上で解散総選挙に打って出る「切り札」があったという。その後、党内、特に旧安倍派を中心に「石破おろし」が加速し、解散は幻となった。

 総裁選では小泉進次郎勝利がほぼ確実視されていた。しかし、「裏金議員」たちは、小泉が24年の衆院選で党選対委員長として関わった「旧安倍派への仕打ち」を忘れてはいなかった。萩生田らが他候補陣営と調整しながら「決選投票では高市」にまとめ上げ、高市総裁誕生に一役買ったのだ。

 安倍晋三元首相を政治の師と仰ぐ高市にとっても、路線継承の正当性を主張するために旧安倍派の支持は不可欠だった。さらに高市は保守層やSNS上の人気が高いものの、党内基盤は脆弱だ。冷遇されていた彼らに「恩」を売ることはたやすく、取り込みやすい相手でもあった。

 総裁に就任した高市は、直後から萩生田を党四役に次ぐ幹事長代行に起用。新たに連立に加わった日本維新の会とのパイプ役を担わせた。高齢で人当たりのいい鈴木俊一幹事長に代わり、党内ににらみを効かせる存在でもある。党内からは「事実上の幹事長だ」との声も漏れる。

 歴史的大勝を果たした2月の衆院選後の人事では、党選対委員長に西村康稔を、組織運動本部長には松野博一をそれぞれ充てた。両役職は支部長専任に関わることもある。裏金事件で党執行部から非公認などの処遇を受けたころからの「転換」を党内に印象づけた。政策面でも旧安倍派起用が目立つ。肝いり政策の「国旗損壊罪」には、保守色のイメージが薄い松野をあえて責任者に据え、広く起用する姿勢を示した。政権の最大テーマを扱う衆院安全保障委員会の委員長には、前回選挙で落選した西村明宏元環境相を起用。復活組にも活躍のチャンスを与えることを示唆した。

 裏金事件で離党し、無所属で衆院に鞍替えした世耕も、今年5月末に復党願いを提出。地元の一部から反発はあるものの、悲壮感はない。周囲には「もうすぐ復党する」と上機嫌で話しているという。

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