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トランプ大統領の発言とアクション(6月12日~6月18日):ウォーシュFRB議長「グリーンスパン流」回帰に垣間見える「権力集中への野心」

2026年6月20日


<span>トランプ大統領の発言とアクション(6月12日~6月18日):ウォーシュFRB議長「グリーンスパン流」回帰に垣間見える「権力集中への野心」</span>
ウォーシュFRB新議長が目指すのは「FRBの声はデータのみ、解釈は議長のみ」[2026年6月17日、アメリカ・ワシントンDCのFRB](C)REUTERS/Eric Lee

利上げを実施せず、インフレ期待を抑制し、大統領の意向とも衝突しない。この三角形を成立させたことが、FRB議長として初のFOMCに臨んだウォーシュ氏の成果と言えよう。声明文を圧縮し、フォワードガイダンスを排する改革が目指す先は、「マエストロ」と呼ばれたアラン・グリーンスパン議長期への回帰にも見える。最終的に目指されるのは、議長以外のFRB関係者が市場に与える影響力を削ぎ、「FRBの声はデータのみ、解釈は議長のみ」という体制へ移行させることではないか。――トランプ大統領と政権キーパーソンから飛び出した発言を、ストリート・インサイツ代表取締役・安田佐和子氏がマーケットへの影響を中心に詳細解説。

「物価安定の遵守」を強調しつつ、利上げを語らず

「まるでXの投稿のようだ」――ケビン・ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が初めて臨んだ6月17日の連邦公開市場委員会(FOMC)後、市場関係者の間でこうした声が上がった。声明文はわずか130語。ジェローム・パウエル前議長による直近の341語から大幅に圧縮され、「雇用の最大化」の文言は削除、「物価安定を遵守する」という言葉で締めくくられた。元FRBエコノミストで、景気後退を予測する経験則「サーム・ルール」の提唱者であるクローディア・サーム氏は、FRBが堅調な雇用よりもインフレ抑制を優先する姿勢を鮮明にしたと分析した。実際に、ウォーシュ氏は会見で14回にわたり「物価安定」に言及した一方、「最大雇用」への言及はわずか1回にとどまり、インフレ抑制を重視する姿勢を強調したように映る。

 簡潔さへのこだわりは、その会見でも貫かれた。記者からの質問に対し、ウォーシュ氏は「声明文以上に言うことは何もない」と詳細な説明を避けるような回答を繰り返すなど、前任者が懇切丁寧に説明を重ねてきたスタイルとは一線を画した。

 四半期に一度公表される経済見通し(SEP)では、インフレ見通しが大幅に上方修正された。FF金利予想は、年内1回の利下げから1回の利上げへ転換【チャート1】。ドットチャート(FF金利予想)を提出したFOMC参加者18名のうち、半分の9名は利上げを予想し、そのうち6名は複数回にわたる利上げを見込んだ【チャート2】。こうした一連のタカ派的な内容を受けて、9月FOMCでの利上げ織り込み度は同日に63.4%へ急伸し、据え置き予想を逆転。米2年債利回りも一時4.220%と2025年2月以来の高水準をつけ、ドル円は一時160.80円と年初来高値を更新(翌18日には一時161.81円まで上値拡大)した。

【チャート1:6月FOMCのSEP】

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【チャート2:6月FOMCのドットチャート】

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 今回の会合で、ウォーシュ氏はドットチャートを提出しなかった。同氏は「FRBの同僚たちに引き続きドットを提出するよう促した」にもかかわらず、「現行の構造のSEPに関する長年の見解に沿って、自身の見通しの提示は控えた」と説明。4月の指名公聴会で「FRBは世界中にドットの見通しを示すが、必要以上に予測に固執しがちだ」と疑問視していただけに、提出を見送るのは想定内だった。

 ウォーシュ氏がドットチャートに否定的な背景の1つに、Fedの信頼を損ねることへの懸念がある。金融危機後のFF金利誘導目標予想(中央値)が実際の金利と一致したのは12回のうち2回だ【チャート3】。極めつきは2021年で、FRBが「インフレは一時的」として、2021年末時点で翌年に2回の利上げしか予想していなかったところ、実際は7回利上げ(うち4回は連続で0.75%利上げ)を余儀なくされた。ウォーシュ氏はこれについて、指名公聴会で「致命的な政策ミス」と批判している。

【チャート3:FF金利誘導目標予想は“正解”したか】

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フォワードガイダンスを空洞化

 ウォーシュ氏が自らはドットプロットの提出を見送り、他の参加者には従来通り提出を促すという構図は、フォワードガイダンスという制度を内部から空洞化させる試みとも読める。

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