2年ぶりのゴールデンウィーク介入、4月の日米財務相会談で「青信号」か
「外出の時もお休みの時もスマホを離さずに」――片山さつき財務相が4月30日に放った異例の警告は、数時間後に現実化した。日銀金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定後、植田和男総裁が6月利上げを示唆しなかった結果、ドル円は4月30日に一時160.73円と、2024年7月以来の高値を更新。しかし、数時間後に入った介入に加え、ゴールデンウィーク中の5月1日、4日、6日の3営業日にわたっても実弾を投入したとみられ、ドル円は5月6日に一時155.03円とイラン紛争開始後の上昇を完全に打ち消した。
日銀当座預金残高の動きから推計して、4月30日には約5兆~5.5兆円、5月1~6日の間で約5兆円規模の介入が入ったと見られる。なお、財務省による介入実績は月次ベースで5月29日、日次ベースでは8月に公表される予定だ。
【チャート1:2022、24年、26年の介入実績と推計値】
約2年ぶりとなる今回のゴールデンウィーク介入で注目すべきは、そのタイミングと米国による事実上の容認姿勢である。片山氏は訪米中の4月15日、スコット・ベッセント財務長官と会談している。その際、米財務省が出した会談要旨には、「一段と緊密な連絡の維持(maintaining even-closer communications)」との文言が初めて記された。これは今年1月の両者の会談、さらには2025年10月のベッセント氏訪日後の会談要旨にも存在しなかった表現であり、4月15日の会談が今回の介入に直結する重要な意味を持っていても不思議ではない。
片山氏も会談後、「為替については、更に連絡緊密化で一致」と強調した。これは、2025年9月の日米財務相共同声明――「介入は過度な変動や無秩序な動きに対処するためのものに留保されるべき」――を踏まえた発言である。今回の円買い介入は、この声明に盛り込まれた「無秩序な減価・増価への対応」として、米国に容認された可能性を浮かび上がらせる。
日本にとっても、円の一段安を回避するうえで「渡りに船」だったに違いない。2022~24年の介入局面を振り返れば、①米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合後に進行した円安への対応、②米国要因でのドル高・米金利上昇からの転換点――のいずれかに重なっている。2022年10月は、FOMCが同年に4回連続で行った0.75%利上げについて、いよいよ最終局面を迎えると観測したウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の報道に合わせて介入が入った。2024年7月は、米6月消費者物価指数(CPI)が市場予想以下となり、同年9月に利下げ転換を迎える時期にあった【チャート2】。
「有事のドル買い」は収束局面
今回は、米連邦準備制度理事会(FRB)の議長が5月15日に任期を満了するジェローム・パウエル氏から、ケビン・ウォーシュ氏に交代する節目というだけでなく、イラン戦争勃発後の「有事のドル買い」が収束に向かう局面だ。5月1日にはトランプ氏が議会に対イラン敵対行為の終了を通知した。戦争権限法による撤収期限への対応ともみられるが、市場は事態が終息へ向かうと意識している。このタイミングを捉えて日米が「介入」で利害を一致させた公算が大きい。