「W佐藤」の重用
7月の人事で副知事に起用したのは、前総務局長の佐藤智秀氏と、前政策企画局長の佐藤章氏の2人。小池氏は6月26日の定例会見で、「W佐藤」とネーミングしてみせた。
「それぞれ実行力と調整力で優れている方々。全庁を牽引して、都政運営の屋台骨を支えていただく2人となります。それぞれの知事周りといいましょうか、補佐官などで務めていただいた経歴なども踏まえて期待をしております」
小池氏がこう評価した通り、「W佐藤」はいずれも知事補佐担当部長として仕えた経歴を持ち、上司・部下で気脈を通じた間柄と言える。
「W佐藤」のうち、とりわけ小池氏の信任が厚く、最側近とも言えるのが佐藤章氏だ。小池氏は2016年の都知事選で当選した後、自民党の影響力が大きかった都庁に単身、乗り込む形となり、都庁官僚に対しても信頼を置いていなかった。当初は環境大臣時代の部下だった小島敏郎氏(元地球環境審議官)らを「特別顧問」として任命し、都庁官僚ではなく庁外の学識者に意見を求めていたという。
そうした中で、都庁内で信頼できる部下として取り立てたのが佐藤章氏だ。2018年に知事補佐担当部長に就任して以来、献身的に小池氏を支えてきたとされる。有名大学を卒業する都庁職員が多い中、専門学校を卒業して都庁に入り、財務局に長く籍を置いた職人肌だ。
2人の関係を見てきた都庁幹部による人物評。
「仕事に一心不乱に打ち込むタイプ。変に知事に取り入って出世しようという色気があるわけではなく、職務として淡々と知事を補佐してきたことが今の信任につながったのではないでしょうか」
実際、佐藤章氏が主税局長に就任した際も、官房の「政策企画局」の理事を兼務し、税務とは別に知事を補佐していた。都庁内には「副知事に昇格するのは時間の問題。特別秘書に起用するのでは」との呼び声もあったほどだ。
もう一人の佐藤智秀氏も、やはり仕事に精力的に取り組むタイプとされる。「かつて知事の祝詞(所信表明の演説原稿)担当や補佐担当を務め、信任が厚い」(同)という。
都庁では4月、副知事と特別秘書の人事を行ったばかりで、一連の人事は政府が検討する「税収の偏在是正」を見据えた布陣とみられている。財政難に喘ぐ政府が「東京一極集中」を理由に、東京都からの税収に目を付ける中、東京都側も交渉を担う幹部を要職に据えたというわけだ。