没落する白人中間層が求める「誇りと仕事」
近年のリベラリズムや新自由主義的な自由主義の思想は、アメリカの白人中間層の没落などの問題に対処できなくなっている。言い換えれば、「新しい自由主義」のあり方が希求されていると言える。
そのとき、最大のテーマの1つとなるのが「所得の再分配」の位置づけである。従来のリベラルは、政府が積極的な所得再分配を行う「大きな政府」路線を推進してきた。
しかし、こうしたリベラルな思想を痛烈に批判する者たち(トランプ支持者がその典型)は、政府による直接的な再分配には激しい拒否反応を示す。なぜなら、彼らはエリートからの「施し」が欲しいわけではないからだ。彼らが本当に求めているのは、自らの手で「誇りと仕事」を取り戻すことなのである。
そのためには、補助金によって直接的に所得を再分配する手法は歓迎されない。むしろ、公的な研究開発投資や成長産業への支援、いわゆる「産業政策」によって経済成長を促進し、産業構造そのものを変革することが求められている。そうした施策によって、中間層が安定した所得を得られる「新しい仕事」を作り出すことが必要、というわけである。