連載|経済・ビジネス

“高級品はイノベーションが起きにくい”という驚くべき事実 「格差是正」は経済成長を促進させるのか

2026年7月31日


<span>“高級品はイノベーションが起きにくい”という驚くべき事実 「格差是正」は経済成長を促進させるのか</span>

個人の自由を守るため国家の役割は最小限に抑えるべきだ、という立場を17~19世紀の古典的自由主義と定義するならば、対して、第二次世界大戦後の市場の混乱に政府が介入し、格差を是正しようとしたのが戦後自由主義と言える。しかし、福祉国家的な政府の介入・管理は1970年代に起きたスタグフレーションに十分に対処できず、それに反発する形で現れたのが80年代以降の新自由主義だ。以上がこれまでの2回の連載で振り返ってきた自由主義の「変容の歴史」である。「大きな政府」と「小さな政府」、どちらが正しいのか。経済学の“永遠のテーマ”について、小林慶一郎氏がその最前線を解説する。

没落する白人中間層が求める「誇りと仕事」

 近年のリベラリズムや新自由主義的な自由主義の思想は、アメリカの白人中間層の没落などの問題に対処できなくなっている。言い換えれば、「新しい自由主義」のあり方が希求されていると言える。

 そのとき、最大のテーマの1つとなるのが「所得の再分配」の位置づけである。従来のリベラルは、政府が積極的な所得再分配を行う「大きな政府」路線を推進してきた。

 しかし、こうしたリベラルな思想を痛烈に批判する者たち(トランプ支持者がその典型)は、政府による直接的な再分配には激しい拒否反応を示す。なぜなら、彼らはエリートからの「施し」が欲しいわけではないからだ。彼らが本当に求めているのは、自らの手で「誇りと仕事」を取り戻すことなのである。

 そのためには、補助金によって直接的に所得を再分配する手法は歓迎されない。むしろ、公的な研究開発投資や成長産業への支援、いわゆる「産業政策」によって経済成長を促進し、産業構造そのものを変革することが求められている。そうした施策によって、中間層が安定した所得を得られる「新しい仕事」を作り出すことが必要、というわけである。

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