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[イラン戦争はどこまで続くか5]米イラン合意はなぜ「次の戦争」を生んだのか?――合意文をめぐる戦争

2026年7月29日


<span>[イラン戦争はどこまで続くか5]米イラン合意はなぜ「次の戦争」を生んだのか?――合意文をめぐる戦争</span>
フースィー派の闘争には、イラン戦争とは別の独自の論理がある。しかし、その自律的な判断は、結果としてイランの戦略的利益と重なった[イラン支持の集会に参加したフースィー派支持者=2026年4月6日、イエメン・サナア](C)REUTERS/Khaled Abdullah

米国とイランが交わした覚書は、イラン戦争を「合意文の解釈をめぐる戦争」に変貌させた。戦争は合意文の中に残された曖昧さそのものを主戦場として続いている。そこではホルムズ海峡の「課金型の守護者」になろうという米国の意思が顕わになり、フースィー派の対サウジ強硬戦略がイランの利益と連動し、新たな争点を生み出された。イランは中東の覇権に近付いたわけではないものの、自国抜きの秩序を成立させない「拒否権」を手にしつつある。

 これは、和平が破れた話ではない。和平に向けた合意文書が、次の戦争の地図になった話である。

 5月24日に公開した「イラン戦争はどこまで続くか4」では、イランの勝利は、米国やイスラエルを軍事的に屈服させることではなく、ホルムズ海峡の統制を通じて中東秩序における自国の地位を引き上げることだと論じた。そこでの問いは、イランが中東を支配するかどうかではなく、イラン抜きに中東を管理できるのか、ということであった。

 その後、事態は一見すると、交戦から外交へと向かったように見えた。6月中旬、米国とイランは終戦に向けた覚書(MOU)に署名した。この文書は14項目から成る「イスラマバード合意」とされ、ホルムズ海峡の閉鎖を解除し、60日間の交渉期間を設けて核問題などを調整する枠組みが示された。

 だが、合意は履行段階に入るとすぐに揺らぎ始めた。ホルムズ海峡の安全通航を誰が管理するのかをめぐって米国とイランの解釈は対立し、7月13日にはドナルド・トランプ大統領が米国をホルムズ海峡の「守護者」と位置づけ、通航貨物から20%の対価を得る構想を示した。さらに7月20日、イエメンのフースィー派がサウジアラビアへの海上封鎖を宣言し、22日にはサウジアラビアの石油タンカー2隻を攻撃したと主張した。こうして争点は、単なる自由航行の回復から、ホルムズ海峡をめぐる管理権・課金権の争い、そしてバーブ・ル=マンデブ海峡における選択的な通航阻止という第二の戦線へと広がった。

 この推移が示しているのは、イスラマバード合意は和平への入口ではなく、戦争の争点を移し替える転換点だったということである。合意文書は戦争を止めたのではない。「停戦条件をめぐる戦争」を、「合意文の解釈をめぐる戦争」へと変換したのである。

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