<span>感染症を防ぐ「古代人のゲノム」</span>

 旧家の蔵を整理していると、何世代も前の先祖が遺した古い箱が見つかることがあります。蓋を開ければ、用途のわからない道具がぎっしりと詰まっている。でも、丹念に調べれば、案外、今でも役に立つ物かもしれません――。実は、ヒトのDNAにも、これとよく似た「古代からの箱」がひっそりと潜んでいます。6月の『サイエンス』誌に発表されたミネソタ大学のシエ博士らの論文を紹介しましょう。

 ネアンデルタール人やデニソワ人といった古代型ヒト族のDNAが、私たち現代人の遺伝子に2~5%ほど混入していることは有名な事実です(この割合はパプアニューギニア系の人々でとくに高くなります)。しかし、従来の技術では、DNAを短い断片に分けてから解読するしかなかったため、一文字単位のごく微細な違いしか捉えられませんでした。シエ博士らは、長い配列を丸ごと読み取る最新の技術を用いることで、DNA混入の全貌を明らかにしたのです。

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