ロシアは現在、ウクライナの国土の約2割を占領しているが、当地での人権状況に大きな懸念が抱かれている。脱出してきた住民らの証言などから、拘束や拉致、拷問、恣意的な裁判などによる恐怖政治が敷かれていると推測できる。
特に問題なのは、未成年者を取り巻く状況である。保護者から引き離されたり、連れ去られたり、ロシア人家庭との養子縁組をさせられたりといった例は、様々な証言や報告が示している。多くの子どもたちが軍事訓練や愛国教育のためにキャンプに送られ、その場所が遠く千島列島や北朝鮮にまで及ぶのは、2025年10月14日付『「殺人マシン」に訓練されるウクライナ占領地の子どもたち:施設は千島列島「占守島」にも』、2026年4月22日付『北朝鮮に連れて行かれるウクライナの子どもたち:巨大エネルギー企業の協力も』で報告した通りである。
状況を憂慮するウクライナの大手慈善基金「セーブ・ウクライナ」は、政府や国際機関の支援を受けつつ、危機にさらされる子どもたちの奪還運動を続けている。今回、そのプロジェクトによって救出され、キーウでリハビリ中の2人の少女に、話をうかがう機会があった。彼女たちの体験と、現地の子どもたちが置かれた環境について報告したい。
占領地から逃れた少女たち
キーウから郊外に車で向かうと、市域を外れるあたりから、中小企業の事務所や町工場のような低層の建物が並ぶようになる。その1棟が「セーブ・ウクライナ」によって運営されるリハビリ・センターである。占領地から脱出してきた未成年者は、ここで精神面でのケアを受け、ウクライナ社会への適応法を身につける。