ゴラン高原で生まれ「宗教シオニズム」の本流を歩む
ベングビール氏ほどの派手さはないが、「ヨルダン川西岸の併合」という目標に向けて歩みを進めるのが財務相のベツァレル・スモトリッチ氏だ。宗教シオニズムの本流を歩んできたスモトリッチ氏は、パフォーマンスに走ることもなく議会活動などの実務面で自らの信念を実行し、現ネタニヤフ政権では財務の番人として入植地への予算配分を進めるなどしてきた。
シャローム・ハルトマン研究所のリサーチ・フェローで、宗教思想に詳しいトメル・ペルシコ氏は、「ベングビール氏よりもはるかに聡明で、老獪で、計算高く、戦略性がある。私はスモトリッチ氏の方がずっと恐ろしい。ベングビール氏は非常に危険な思想を持ってはいますが、それを実行に移す能力はほとんどない。自分が何をやっているのか分かっていないのです。それに対してスモトリッチ氏の政党は老獪な人々の集まりです。シムハ・ロトマン氏、オリット・ストロック氏など、彼の仲間は仕事に取り組み、非常に勤勉に、そして効果的に事を進める。だからこそ、私は彼らを民主主義にとって真に危険な存在だと恐れているのです」と指摘する。
スモトリッチ氏は1980年、イスラエルが占領するシリア領のゴランの小さな村に生まれ、その後、ヨルダン川西岸地区の中心都市ラマラに隣接するユダヤ人入植地ベイトエルで育った。ラビ(宗教指導者)を父に持ち、年少期からエルサレムにある宗教学校「メルカズ・ハラブ」に通った。そして、このメルカズ・ハラブこそ、宗教シオニズムの発祥の地なのだ。