ベッセント氏「財務省ツイスト」に批判噴出だが現実は?
スタンリー・ドラッケンミラー氏は、ソロス・ファンド・マネジメント(SFM)で1992年のポンド売りを主導した著名投資家だ。2月には、SFM時代の部下スコット・ベッセント財務長官と、自身の率いるデュケイン・ファミリー・オフィスで共に働いたケビン・ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長について、「財務省とFRBにこれほど有能な人物がそろうのは数十年ぶりで、ロバート・ルービンとアラン・グリーンスパン以来かもしれない」と称賛した。約半年後、そのベッセント氏の政策を批判することになるとは、想像していなかっただろう。
批判の矛先は、財務省が8月19日に発表した長期債買い戻しの増額に向けられた。8月24日には、CNBCが財務省高官2人の話として、財務省一般勘定(TGA)に積みあがった現金残高(残高は8月26日時点で約9,510億ドル)が長期債買い戻しの資金源に活用される可能性を報じた【チャート1】。同日夕刻のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版のオピニオン欄で公開されたドラッケンミラー氏の見解は、このTGA活用案にも触れつつ、「ファンダメンタルズに反して価格を防衛しようとする政府は、常に敗北する」と唱えている。かつてのメンターからの忠告だけに、その言葉は一段と重く受け止められた。
実際、このTGA活用構想には限界がある。連邦債務は法定上限の41.1兆ドルに対し、既に40兆ドルを突破している。長期債を買い戻した資金を短期債発行で補えば、それは満期構成の入れ替えにすぎず、長期金利上昇の根底にある政府債務問題から逃れられない。他方、TGAは政府支払いの原資である。残高を補わずに取り崩し続けるわけにもいかないからだ。