<span>アトリエでは体験できない“トランス状態”</span>

 1980年、46年前に僕はグラフィックデザイナーから画家に転向しました。とはいうもののアトリエがなかったために、美術館のロビーや廊下や空き部屋の片隅みを借りて制作させてもらうのですが、交換条件として公開制作にしてくれないかと提案されることもありました。

 絵さえ描けるならどんな条件も受け入れることにしました。画家の仕事はアトリエに一人閉じ籠って描く孤独な作業です。家族や第三者がアトリエに入って来ないように部屋に鍵をかけて描く画家もいます。僕の場合はそんなことはいっておれないので、スペースを提供してもらえるならどこにでも出掛け、見物人がいることが普通になってしまいました。まるで観客の前で演技をする俳優同様です。

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