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中東の新しい地政学(7)――「10月7日」から「2月28日」の世界線へ

2026年10月31日


<span>中東の新しい地政学(7)――「10月7日」から「2月28日」の世界線へ</span>
米国が中東への関与を縮小して生まれた空白をロシアと中国が埋めることは可能か[ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(左)とイランのアッバス・アラグチ外相=2026年10月19日、イラン・テヘラン](C)Majid Asgaripour/WANA via REUTERS

イランの戦略的浮上は、同国との関係を維持してきた中国とロシアの中東での影響力を強め、北朝鮮とのミサイル技術協力が再活性化する余地も広げる。中国、ロシア、北朝鮮はいずれも日本の安全保障環境を直接左右する国であり、これらの影響力が中東でも増すことは一義的には厳しいものに映る。しかし、これは中東から日本が排除されることを必ずしも意味しない。むしろ、米国と欧州が中東関与を後退させる一方で、中国とロシアだけでは地域諸国の需要を満たせないなら、ここには日本にとって重要な「機会」も生まれるだろう。

「10月7日」に開いた扉は、イスラエルを中東の軍事的一強へと押し上げた。しかし、2026年2月28日、その扉が閉じ始めると同時に、もう一つの扉が開いた。本稿「中東の新しい地政学」では「世界線」という概念を導入して中東の地政学的布置の変化を追ってきた。「世界線」とは単に重大事件が起きたことを意味しない。ある出来事を境に主要プレイヤーが入れ替わり、因果関係の束が組み替わり、あるプレイヤーの同じ行動が以前とは異なる結果を生むようになる――そのような非連続的な構造転換を指している。

 「10月7日」はまさにその転換点だった。それ以前の中東では、主要な国家間対立が「イラン対イスラエル」へと収斂し、アラブ諸国間の断交やサウジアラビアとイランの対立は表向きには解消へ向かっていた。ところがハマースの越境攻撃と、それを梃子にしたイスラエルの7正面作戦によって、膠着していた地域秩序は別の軌道に移った。

 前稿「中東の新しい地政学(6)」は、その世界線が変わる前触れを描いた。イスラエルとUAE(アラブ首長国連邦)を中心とするアブラハム合意型のネットワーク、サウジアラビアがパキスタンとトルコと接近することで確保しようとした安全保障上の「保険」、そしてイランとその連動勢力が再び伸長する可能性である。前稿の末尾では、これらが「抵抗の枢軸」「マッカ協定枢軸」「アブラハム合意枢軸」という三つの未完成な秩序構想に転化する予兆を見てきた。だが、「2月28日」の後に現れたのは、安定した三極均衡ではなかった。

揺らぐアブラハム合意枢軸、試されるR4

 イスラエルとUAEを中核とするアブラハム合意型のネットワークは以前から存在した。これはイスラエルの情報・防空・軍事技術と、UAEの資本・港湾・地方勢力ネットワークを接続し、紅海からアデン湾へ影響圏を広げる構想と言える。英キングス・カレッジのアンドレアス・クリークは、各地の分離独立勢力や反政府武装勢力を支援することで築かれた非公式な勢力ネットワークという意味合いを込め、これを「分離主義者の枢軸」と呼んでいる。

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