政治

もはや香港は統治能力を求められていない――「李家超・政務長官人事」の意味

2021年7月15日

香港政府は6月25日、政府ナンバー2の政務長官に、警察等の内部治安を担当する保安局長を務めていた李家超(ジョン・リー)が就任する人事異動を発表した。これまでほとんどの場合キャリア官僚が務めてきた政務長官ポストに、初めて警察出身者が就任する異例の人事に、香港では驚きの声があがるとともに、その意味についての議論が巻き起こった。

 

公務員組織の最高位

 政務長官は返還前には布政司と呼ばれ、当時は「行政長官」と邦訳されてきたポストである。これは現在の政府トップの行政長官とは異なり、ロンドンから派遣されてくる総督を補佐する直属の部下であると同時に、香港の公務員組織の最高位とされた地位である。

 植民地統治の時代、香港では民主化が遅れ、民選政治家が行政府の高官を務めることはなかった。このため、公務員の高位の者は行政官の仕事に留まらず、総督とともに行政評議会という内閣に似た組織に加わり、高度な政治決定にも参与した。

 このような重要ポストであるため、イギリスは長年、布政司に華人をつけることはなく、イギリス人に務めさせてきた。しかし、返還を目前にした1993年、脱植民地化の一環として、当時のクリストファー・パッテン総督は初めて華人の陳方安生(アンソン・チャン)を布政司に抜擢。陳方安生は返還と同時に、初代の政務長官に就任した。……

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