政治

体制派か、変革者か――自叙伝からカマラ・ハリスを読み解く

2021年7月16日


<span>体制派か、変革者か――自叙伝からカマラ・ハリスを読み解く</span>

次期大統領選挙の有力候補とも期待され、注目を集める黒人女性初の副大統領、カマラ・ハリス。しかし彼女の政治家としての立ち位置や存在感が、いまひとつ見えてこない――その理由を、自叙伝を中心に分析する。

 2020年大統領選挙の結果、カマラ・ハリスは、黒人、アジア系、そして女性として初のアメリカ合衆国副大統領となった。つい最近邦訳された『私たちの真実 アメリカン・ジャーニー』(光文社、藤田美菜子・安藤貴子訳)は、2024年大統領選における有力な大統領候補とも目されるハリスの初の自伝である(原著“The Truths We Hold: An American Journey”は2019年1月刊)。政策的な提言も豊富に展開されている。

挫折から始まった検事のキャリア

 

 ハリスは1964年、カリフォルニア州オークランドでインド系の母シャマラ・ゴパランとジャマイカ系の父ドナルド・ハリスの間に生まれた。母はがん研究者で、父は経済学教授というエリート家系の出身だ。幼い頃は黒人バプテスト教会とヒンドゥー教寺院の両方に通い、多様な文化や宗教を経験しながら育った。第44代米大統領バラク・オバマを彷彿とさせるコスモポリタンな生い立ちだ。

 7歳のとき両親が離婚し、以降は妹マヤとともに母親に育てられた。名門黒人大学のハワード大学、カリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールを卒業し、司法試験に合格。2004年、サンフランシスコ市郡地方検事となった。

 検事の仕事は犯罪者を刑務所に入れることまでだという考えがいまだ根強い中、元犯罪者の社会復帰プログラム「バック・オン・トラック」の作成に取り組んだ。「バック・オン・トラック」は、職業訓練、GED(高卒認定試験)コース、社会奉仕活動、薬物治療などを盛り込んだ包括的なプログラムとして着実に成果を挙げ、オバマ政権下の司法省によって全米のモデルプログラムにも選出された。……

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