「故郷の村では既に友人が10人以上殺されました。森に逃げた母親や兄弟とも連絡がとれていません。帰りたくても、帰れないのです」
そう話すのは、現在東京で暮らすミャンマー人のジョンさん(24)だ。ジョンさんは2019年9月、茨城県にある建設会社の技能実習生として来日した。母国で日本語を学び、未来への夢と希望を抱えて日本を訪れたジョンさんだったが、そうした期待は様々な困難によって打ち砕かれた。
まず日本で直面したのは、実習先の工事現場で常習的に行われていたパワハラや暴力だった。ジョンさんによると、日本人の上司は日本語をうまく話せないことや、業務が思うように遂行されないことを理由に、ジョンさんら実習生の頭を殴ったり、ひどいときには棒で叩いたりするようになった。
家族への仕送りなど経済的な理由もあり、暴力を受けても我慢を続けていたジョンさんだったが、さらに追い打ちをかける出来事が起こる。毎晩のように電話で相談し、ジョンさんを慰めてくれていたミャンマーに住む父親が亡くなってしまったのだ。父親は故郷の学校で校長先生をしていたが、国軍への抗議活動に参加したことで指名手配され、ジャングルで避難生活を送っていた。劣悪な環境で難病にかかり、まともな治療を受けられないまま症状が悪化。51歳という若さでこの世を去った。……