安倍晋三元総理が憲政史上、最長の政権を築いた要因のひとつは国政選挙に勝ち続けたことであった。選挙戦において、安倍氏は街頭演説を重視していた。YouTubeの「あべ晋三チャンネル」を見てみれば、今回の参院選のため地方で熱のこもった応援演説のあと、多くの人々と気さくにふれあっていた様子が残されている。多くの人々が安倍元総理とグータッチをしたい、一緒に写真を撮りたいと、安倍氏のもとへ近付いていったのだろう。
しかし、この日は違った。2022年7月8日、一人の男が強い殺意を持って安倍元総理の背後から歩み寄り、数メートルの至近距離から2回、銃撃した。安倍氏は凶弾に倒れ、帰らぬ人となった。
手製の銃による元政治指導者の暗殺は、日本のみならず世界を震撼させた。その襲撃の瞬間はテレビで繰り返し報道され、SNSでも拡散された。襲撃されたのが日本を代表するリーダーであることに加え、日本は銃犯罪が少なく、また来年5月にはG7(主要7カ国)サミットが広島で開催予定である。日本の治安への信頼が根底から揺るがされている。要人の警護警備体制について徹底的な検証が必要だ。
7月12日、二之湯智国家公安委員長は「このような重大な事案が二度と起きないよう、しっかりとした検証を行い、警護警備の強化に向けた見直しを図るよう」警察庁に指示し、警察庁は検証チームを発足させた。検証の焦点は、警察官の体制や配置、1回目の銃撃が発生するまで安倍氏後方に対する警戒が十分だったか、1回目の銃撃後の数秒間の対応、さらに警護措置要領や装備などとなっている。政府は8月中に検証結果を取りまとめる予定である。……