隣国ウクライナに軍事侵攻したウラジーミル・プーチン露大統領が、戦場での劣勢挽回などを狙って核兵器使用の威嚇を繰り返したことで、国際社会の緊張は、米政権が米露核衝突の「アルマゲドン(終末戦争)の危機」に言及するほど高まっている。
だが、一方でクレムリンの城壁内からは、核使用への執念と同時に、少なくとも現時点では、逡巡と自信喪失の気配も漏れ出ている。核のボタンに指をかけた独裁者に最後の決断をためらわせる事情とは何なのだろうか。
「アルマゲドンに近づいた」ロシアの核恫喝
「キューバ核ミサイル危機以来、我々がこれほどアルマゲドンに近づいたことはない」――ジョー・バイデン米大統領は10月6日、民主党支援者の会合で演説し、キューバへのソ連核ミサイルの配備をめぐり米ソが核戦争の淵に立った1962年の危機の歴史と、プーチン政権による核の威嚇で生起した現情勢を同列にみなし、米国内外に衝撃を走らせた。
米大統領にここまでの危機認識を抱かせたのは、言うまでもなく、2月24日のロシア軍のウクライナ侵攻開始を機に相次いだ、露大統領や側近たちによる数々の核恫喝発言だ。……