1990年代末期から2000年代の初頭まで、米国市場を中心に起こった「ドットコムバブル」。インターネット技術の急速な発展に伴い、EC(電子商取引)を中心とした新たなビジネスモデルが誕生して多額の資金がスタートアップ市場へと流れたが、米国金利の上昇に伴い市場は急激に冷え込んだ。
同じころ、中国には米国インターネット産業の勃興を目の当たりにして起業に挑んだ若者たちがいた。米国で研究開発に従事していた人や、中国でビジネスを営み米国出張でインターネットに触れた人、米国に訪れたことはなかったが中国国内で波を感じた人などが、様々な背景からインターネットに可能性を感じ、創業の道を歩み始めた。この時期に創業した企業はのちに、中国を代表するテンセント(1998年創業)、アリババ(1999年創業)、バイドゥ(2000年創業)というBAT企業群を形成した。
そんな米国ドットコムバブルの一部始終と、中国のインターネット産業の勃興を全て経験し、今は日本でweb3の挑戦を続ける起業家を取材した。ウィスキー樽のNFT(非代替性トークン)を販売するUniCaskや、実在する不動産と紐づいたデジタル物件のNFTを販売するANGOなどといった、実体経済×web3プロジェクトを手掛ける株式会社レシカの代表、クリス・ダイ氏だ。
ダイ氏は幼少期を日本で過ごし、2000年に高校を卒業後、米スタンフォード大学に進学。在学中にドットコムバブルを経験し、卒業間際に再度インターネット業界の隆盛を身をもって感じた。故郷であるアジアに可能性を見出し日本へ“凱旋”、東京でコンサルタントとして数年働いた。その後、祖国である中国へ帰国し、ファミリービジネスの新規事業の立ち上げに従事する中で、ブロックチェーンという新たなテクノロジーに出会い、起業を決意。2016年には再度日本へと拠点を移し、ブロックチェーン事業のインキュベーションやコンサルティングに携わった後、2018年に株式会社レシカを設立した。……