政治

「ワグネル」と「カディロフツィ」――誇張されたロシア異形の戦闘部隊

2023年2月20日


<span>「ワグネル」と「カディロフツィ」――誇張されたロシア異形の戦闘部隊</span>

ロシア・ウクライナ戦争から1年、想定外の苦戦が続くロシア側では、正規のロシア軍とは一線を画す異形の戦闘部隊の存在感が増している。オリガルヒのプリゴジンが創設した民間軍事会社「ワグネル」とチェチェン共和国のカディロフ首長率いる私兵軍団「カディロフツィ」だ。プーチン大統領に近いプリゴジンとカディロフは公然とロシア軍の戦略を批判し、自らの戦果をアピールするが、その実像は——。『ルポ プーチンの破滅戦争――ロシアによるウクライナ侵略の記録』(ちくま新書)を1月に刊行した筆者が考察する。

 

 2月24日で開戦1年となるロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ側の強い抵抗と米欧の兵器供与によって、ロシア軍の想定外の苦戦が続いている。それでもウクライナ領の約2割を占領したロシア側は攻勢の手を緩めず、戦争の終結は見通せない。まるで20世紀前半に戻ったかのような大規模な侵略戦争の中で、注目を集める存在の1つがロシア側の異形の戦闘部隊だ。

 それは、新興財閥主(オリガルヒ)のエフゲニー・プリゴジンがオーナーを務める民間軍事会社「ワグネル」と、露南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長の傘下にあるチェチェン人部隊「カディロフツィ」である。それぞれを率いる2人は共にウラジーミル・プーチン大統領に近く、国内で主戦強硬派として台頭した。ウクライナ軍の反転攻勢が続いた昨年秋などには、軍高官の戦略の不手際を激しく批判して注目を集めた。

 今年に入っても、1月に東部の要衝バフムトに近い町ソレダルの制圧を巡って、プリゴジンがワグネルの貢献を強くアピール。露国防省は「軍部隊の功績」としていた発表の後、ワグネルにも触れる内容へ事実上修正する異例の出来事もあった。2人はメディア空間やSNSも駆使し、独自の戦闘部隊を配下に持つ強みを最大限に発揮している。……

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