政治

ロシア・ウクライナ戦争1年(上):ロシアの継戦能力を支える予備・改修・新造戦車

2023年2月25日

ウクライナ侵攻から1年、ロシア軍は第2次大戦以来となる甚大な損耗をきたしているが、未だに継戦能力が衰えないのはなぜなのか。約半数を失ったとされる戦車にフォーカスしながら、損失を補う予備保管戦車の存在、増強しつつある修理・改修・新造能力について解説する。(後編はこちらからお読みいただけます)

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年を迎えた。ロシアが望む形でウクライナを屈服させ戦争に勝利する展開は考え難い一方、ウクライナ側も秋のハルキウ攻勢以降、大規模な反攻を成功させる兆しは今のところなく、戦況の見通しは不透明なままだ。確実に言えることは、現在のウラジーミル・プーチン政権にこの侵略戦争を止める意志はなく、またロシアは今なおそれを続けるだけの継戦能力を有しているということだ。

第2次大戦以来の損耗

 ロシア軍の損耗は甚大である。主要装備の損害を見れば、地上戦の要となる機動部隊(戦車・機械化歩兵)の損耗は深刻なレベルで蓄積されていると言っても過言ではない。

 2023年2月時点で民間OSINTグループ「Oryx」によって視覚的に確認されている[1だけで、ロシア軍(親露武装勢力である「ドネツク人民共和国(DNR)軍」および「ルガンスク人民共和国(LNR)軍」を含む)は1770輌以上の戦車を喪失(うち1043輌が再生不能とみられる撃破)しており、ウクライナ侵攻直前の2021年末時点でロシア軍が現役で配備していた戦車(推定約3300輌・DNR/LNR軍装備分を含まず)の約半数を失った計算になる。また、戦車とともに機械化部隊の主力となる歩兵戦闘車は2118輌(うち撃破1343輌)を喪失している。

 機動部隊の大損耗はロシア軍の機動的な攻勢作戦の実行を困難にし、第1次世界大戦を彷彿させる固定的な陣地戦(塹壕戦)が繰り広げられる一因となっている。……

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