政治

米中「競争」「共存」の展望に静かな変化(2022年11・12月)

2023年3月5日

昨年10月に公表された米国の「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」は、国際秩序の前景にロシア・ウクライナ戦争を捉えつつ、後景には中国との大国間競争を見据えている。注目すべきは、これを受けての中国側の言説が、ある種の共存を展望しているように見えることだ。双方の競争は熾烈化する可能性があるものの、過度の悲観に流されず、より長期的な観点から捉えるべき時代に入っているのかもしれない。

 

1. 大国間競争時代の新戦略

■バイデン政権「NSS」「NDS」への評価と批判

 2022年10月12日および27日、バイデン政権下のアメリカで、新しい「国家安全保障戦略(National Security Strategy ; NSS)」と、それを受けた国防政策の指針である「国家防衛戦略(National Defense Strategy;NDS)」が公表された。当初は2021年末までの公表を目指していたが、ロシアのウクライナ侵攻の可能性が浮上し、実際に軍事攻撃が始まったことにより、大幅にとりまとめと公表が遅れることになった。 

 このアメリカの新しい「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」では、ロシアを「差し迫った脅威」とする一方、中国をアメリカにとっての「唯一の競争相手」とし、より大きな脅威と位置づけている。同時に、「統合抑止」の概念を導入し、同盟国との協力や、軍事力以外の手段を総合的に活用することによって、それらの脅威に対抗する方策が示されている。……

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