3.揺れ動く中国の立ち位置
■「欧州との関係改善」と「中ロ関係発展」の両睨み
ウクライナでの戦争が1年を超えて続く中で、中国は自らがどのような役割を担うべきか、明確な姿勢を示せないでいる。国際社会における自らの立ち位置についての中国の動揺が見られるのだ。
中国国際問題研究院欧州所所長の崔洪建は中国がヨーロッパとの協調関係を発展させる意義を説き、ウクライナ危機をめぐる両者の姿勢の違いによって中国と欧州の関係の発展を阻害すべきではないと論じる[崔洪建(Cui Hongjian)「别再让乌克兰危机绑架中欧关系(ウクライナ危機が欧中関係を再び拉致するべきでない)」、『环球⽹』、2023年1⽉4⽇]。欧州諸国は、中国が「ロシアを公式に非難する」ことや、「対ロシア制裁に参加する」ことを求めているが、それは現実的ではない。ヨーロッパは感情的になって、自らの立場が唯一の正義だと考える傾向がある。崔洪建は、ロシア・ウクライナ戦争の行方に左右されることなく、その関係の重要性を考慮して、中国と欧州の関係を育む必要を説いている。
他方で、『環球時報』紙の2月21日の社説では、「中露友好は世界の財産である」と題して、混乱する国際情勢の中では中ロ関係の安定的な発展がむしろ世界の財産になると説いている。アメリカはウクライナへ軍事援助を行うことで火に油を注ぐ一方で、中国はむしろロシアとの安定した関係を維持して、建設的な役割を果たしていると唱えるのだ[「社评:中俄友好,这是世界的正资产(社説:中ロ友好は世界の財産である)」、『环球⽹』、2023年2⽉21⽇]。
ちょうどこのとき、中国共産党の王毅中央政治局委員が欧州諸国を訪問することになっていた。欧米が基本的にロシアとの関係を断っているのに対して、中ロ間で意見交換を行うことはむしろ、国際情勢の安定化や世界平和に利する。そもそもアメリカは、ロシア・ウクライナ戦争とは関係なく、それ以前から中ロ関係の発展を望んでいなかったではないか。あくまでも中ロ関係とは、二つの主権国家間の関係の範囲内の問題だというのが、この『環球時報』社説の骨子である。……