政治

中国「仲介外交」が浸透して行く国際秩序の虚実皮膜(2023年 第Ⅱ号‐1)

2023年8月29日

サウジとイランの国交正常化を引き寄せるなど、中国「仲介外交」の成果は少なくない。ただし、その影響力は多くの場合、アメリカの影響力低下の反作用として生まれている。米同盟国が準備せざるを得なくなった新たな「プランB」として、あるいはグローバル・サウス諸国が大国間競争の余波を躱すヘッジング戦略の帰結として、国際秩序をめぐる現実と思惑の境界領域でこの外交は展開される。(2023年 第Ⅱ号‐2〈中国の背を押す西側「デリスキング」の揃わぬ足並み〉はこちらからお読みになれます)

 

1.グローバルに影響力が拡大する中国

■中国「仲介外交」はどう評価されたか 

 現在中国は、ウクライナでの戦争が続く中で、外交活動を活発化させて自らのグローバルな影響力の拡大を試みている。たとえばそれは、2023年2月21日に中国外交部が発表した「グローバル安全保障イニシアティブ(Global Security Initiative)」の構想に現れている[「全球安全倡议概念⽂件(全⽂)(グローバル安全保障イニシアティブ概念に関する⽂書)」、中华⼈⺠共和国外交部、2023年2⽉21⽇]。そこでは、中国が「共通・総合・協調・持続可能な安全保障観を堅持」することが掲げられており、またさらには「各国の主権及び領土的一体性の尊重の堅持」の重要性が論じられている。

 平和へ向けた中国外交の攻勢は、中東やアフリカなどの地域において活発に示されている。

 上海外国語⼤学中東研究所教授の丁隆は、『環球時報』の論稿において、サウジアラビアとイランの国交正常化に際して中国が果たした仲介的な役割を礼賛する[丁隆(Ding Long)「沙伊北京对话,全球安全倡议的成功实践(サウジアラビアとイランの北京会談は、グローバル安全保障イニシアティブの成功例となった)」、『环球⽹』、2023年3⽉11⽇]。2023年3月10日に、それまで中国で4日間にわたって非公式協議で進められていたサウジアラビアとイランとの間の国交正常化の協議が、合意に帰結した。丁隆はこれを、「グローバル安全保障イニシアティブの成功例」として賞賛する。すなわち、「サウジアラビアとイランの北京での会談で成果が出たことは、両国だけでなく中東と世界の平和にとって喜ばしいことである」。……

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