2.中国のウクライナ和平和提案
■存在の誇示と限界の自覚
中国政府にとって、ロシアのウクライナ侵攻に対してどのような姿勢を示し、自らの立場をどのように国際社会に発信していくかは悩ましい問題である。一方では、開戦前の2022年2月4日に、習近平主席のウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談の席で「際限のない友情」を示し、中ロ両国間の緊密な関係をアピールしながら、他方で、国際法上違法性の高い侵略によって国際社会から非難をされるロシアとは距離を置きたい意向も見られる。
ちょうど開戦から1年が経過した2023年2月24日、中国の外交部は、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する、12項目からなる包括的な和平提案を示した[「关于政治解决乌克兰危机的中国⽴场(ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の⽴場)」、中华⼈⺠共和国外交部、2023年2⽉24⽇]。
12項目は、「国家主権の尊重」、「冷戦思考の放棄」、「戦闘の停止」、「和平交渉の開始」、「人道危機の解決」、「民間人と捕虜の保護」、「原子力発電所の安全の確保」、「戦略リスクの低減」、「食糧サプライチェーンの保護」、「一方的な制裁の停止」、「産業サプライチェーンの安定性の確保」、「戦後復興の推進」によって構成される。内容としては、これまで中国政府が繰り返し示してきた一般原則を繰り返すに止まり、和平へ向けた具体的で実行可能な提案が含まれているわけではない。ただし、これによって中国はロシア・ウクライナ戦争の和平へ向けた一定の貢献を行っている姿勢を示そうとしたのだろう。……