4.ウクライナ支援をめぐる西側の不協和音
■「ロン・デサンティスの初めての大失敗」
西側諸国の間で、対応が混乱して結束が乱れているのは、対中国のみならず対ロシア政策においても同様である。アメリカや欧州諸国の中では、ウクライナでの終わりが見えない戦争において、永続的にウクライナへの支援を提供し続けねばならないことに、次第に不満が鬱積しつつある。
たとえば、アメリカのクインジー研究所副所長のトリタ・パルシは、『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄せた論稿において、中国によるサウジアラビアとイランの間の国交正常化への仲介を例にとって、アメリカもまたそのような平和創出のための努力をするべきだと論じている[Trita Parsi, “The U.S. Is Not an Indispensable Peacemaker(アメリカは不可欠なピースメーカーではない)”, The New York Times, March 22, 2023]。
かつてのアメリカは、中東和平をめぐるキャンプ・デービッド合意やオスロ合意など、平和を創出する上での「誠実な仲介者」であった。ところが次第にアメリカは、「歴史の正しい側」に立とうとして中立的な立場を嫌うようになってきた。すなわち、平和は妥協ではなくて、完全な勝利からもたらされるべきだという考え方だ。他方でグローバル・サウス諸国はウクライナの勝利へ向けての軍事支援よりも、和平案を求めている。そのようなロシア・ウクライナ戦争での中立的な立場こそが、習近平がサウジとイランの仲介者として成功する背景にあった。それだけではない。多極化した世界においては、そのような中国の和平への努力はむしろ、世界におけるアメリカの過剰な負担を軽減してくれるだろう。パルシは、アメリカが和平への外交を後回しにすることをせず、あわせて中国などの他の大国の和平への努力にも、より肯定的な評価をするべきだと主張する。……