11月26日、ドイツのアンゲラ・メルケル前首相が「自由(Freiheit)」と題した回顧録を公表した。同氏がウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟に反対する理由など、貴重な証言も含まれている。だがドイツの論壇では「自己批判が少なく、過去の決定を正当化しようとする態度が目立つ」という声も聞かれる。
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CDUの異端児がドイツ初の女性首相に
736ページの回顧録に刻まれたメルケル氏の道程は、波乱に満ちている。1954年にハンブルクで生まれたが、牧師だった父親が家族とともに社会主義国・ドイツ民主共和国(東ドイツ)に移住したため、メルケル氏は東ドイツで教育を受けた。東ドイツでは物理学者として、物理化学中央研究所で勤務した。
メルケル氏は1989年のベルリンの壁崩壊後、東ドイツの民主化を目指す新政党「民主主義の出発」に加わり政界に飛び込んだ。その後1990年に西ドイツの政権党だったキリスト教民主同盟(CDU)に入党する。メルケル氏は統一を実現したヘルムート・コール首相(当時)の目にとまり、連邦政府の婦人青年大臣に抜擢される。コール氏は「西ドイツ主導の統一」という印象を薄めるために、旧東ドイツ人を閣僚に加えたのだ。一種の頭数(あたまかず)合わせである。……