配達員によって捨てられた大量の郵便物。手段を選ばない保険営業や相次ぐ横領や詐欺――2007年の民営化以来17年、2万4000局、従業員30万人超の巨大組織で何が起きていたのか。調査報道大賞など数々の賞で顕彰された西日本新聞記者が、6年以上をかけた独自取材で疲弊する現場からそれを招いた「病原」まで浮き彫りにしたのが、『ブラック郵便局』だ。郵便局をめぐる調査報道で双璧を成し、『郵便局の裏組織 「全特」 ―― 権力と支配構造』などの著書がある朝日新聞・藤田知也記者が自身の取材体験を踏まえて書評を寄せてくれた。
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取材の蓄積があぶりだすもの
西日本新聞を読んでいなければ、知ることのできないファクトがここ数年、確かにあった。日本郵政グループと郵便局の現場からの報告である。
新聞やテレビが報じる企業関連ニュースの多くは、会社側が発表したり提供したりする内容をもとにつくられる。その結果、速さや切り口に多少の差はあっても、報じる内容は似通ってくるものだ。……