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禅僧とChatGPTとの「禅問答」が問いかけるもの

2026年5月24日


<span>禅僧とChatGPTとの「禅問答」が問いかけるもの</span>
​​AI時代の到来に禅僧は何を想う(Leon Rafael/shutterstock.com)

 2025年の晩秋、『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』(サンクチュアリ出版)の著者・しんめいP氏と訪ねたのは、葉山を拠点に座禅会や執筆、ワークショップなどの活動を続ける禅僧の藤田一照氏。そこで二人は「AIと禅」というテーマで対談を進めるなか、ある“実験”を試みる。それは、禅僧とChatGPTとの間で「禅問答」は成立するのか、というもの――。 ***

禅僧がChatGPTに「片手の音」を問う

 神奈川県・葉山の山あいにある「茅山荘」。秋の深まった庭に茅葺きの小屋が佇み、落ち葉が敷き詰められた石の上で、二人の男性が向かい合っている。青い作務衣に剃髪のいで立ちなのは禅僧の藤田一照氏。もう一方、黒いジャケットに身を包んでいるのは作家のしんめいP氏である。

 しんめいP氏が手にするスマートフォンから、女性の声が流れる。

「こんにちは。どうもです。何かお手伝いできることがあればなんでもご気軽どうぞ」

 ChatGPTの音声チャット機能である。

 この日、二人が試みたのは、AIに禅の公案を問いかけるという実験である。取り上げたのは江戸中期の禅僧・白隠慧鶴が創案した「隻手音声」(せきしゅおんじょう)だ。

「両手をたたけば音が鳴るが、片手ではどんな音がするか」という、禅入門者が最初に与えられる有名な公案である。果たしてAIは、この問いにどう答えるのだろうか。

「こういった哲学的な問いは面白いですよね」

 しんめいP氏がスマートフォンに向かって語りかける。

「あなた自身の考えを聞きせてください。両手を叩くとパンという音がします。では、片手ではどんな音がなるでしょうか」

 間髪入れず、AIが応答した。

「なるほど、面白い問いですね。片手だけだと実際には特定の音は出ないというのが答えになりますね。つまり片手では音がならないという感じです。こういった哲学的な問いは面白いですよね」

 藤田氏は眼鏡の奥の目を細める。物理的事実を淡々と述べるAIの回答は、ある意味で正確だ。だが、禅問答の核心には触れていない。そこで、しんめいP氏が質問を重ねる。

「あなたもご存知だと思いますが、これは隻手音声と言われる有名な禅問答の公案になります。それを踏まえてあなたの答えを言ってみてください」

 すると、AIの返答が変化する。

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