学校教育にも乗り出す有力塾
教育市場としては首都圏に近い新潟や山梨の方が大きいといえるが、北陸・甲信越全体を代表する塾グループは、富山育英センターといって間違いないだろう。
富山県内で圧倒的なシェアを誇るだけでなく、石川や福井にもその手を広げ、それぞれの地元塾を脅かすほどの存在感を放っている。
同塾で忘れてはならないのが、学校運営にも注力している点だ。2005年に片山学園中学を新設し、さらに08年には同高校を併設。19年には初等科も開設している。富山県初の小中高一貫校を作ったのは、なんと富山県のナンバーワン塾だったのだ。そんな独自の立ち位置を活かし、今や片山学園高校の大学受験における実績は、富山中部、高岡、富山の公立トップ3校に追いつこうとするほどの急成長を遂げているというから、全国でも珍しい事象だといっていいだろう。
片山学園が躍進した最大の要因の一つは、長年にわたり富山県内で中高一貫教育の受け皿が限られていたことにある。国立の富山大学教育学部附属小学校・中学校は地域の有力校として知られていたものの、中高6年間を通じた一貫教育体制は整備されていなかった。その隙間を埋めたのが、県内最大手塾の富山育英センターが設立した片山学園だった。
同校は中高一貫教育を軸に据え、難関大学受験に特化したカリキュラムを構築。さらに、富山県内では数少ない医学部受験まで一貫して対応できる教育体制を整えたことで、高い進学実績を実現した。その結果、「県内で医学部を目指すなら片山学園」という評価が広がり、優秀層の受験生が集まる好循環が生まれた。
「医学部に強いことをウリにしていて、医学部合格者は卒業生の12%超えと、公立トップ校を上回っています。小学校・中学受験段階の早期から、医師や会社経営者、弁護士などのお子さんを取り込んでいて、東大、京大、慶應など最難関医学部の合格者も輩出しています。英語教育にも力を入れ、海外大学にも合格者を出しています。富山育英センターの受験指導ノウハウが学校教育に生かされてこその実績だと思います」(富山県の能力開発センターの関係者)
なお富山県内で固い地盤を持つアルファ進学スクールも、上記公立トップ校のみならず、“ライバル塾”が運営する片山学園中にも合格者を多数送り出している点はなかなかに興味深い事象だといえる。
学習塾を運営する企業が学校運営に乗り出すのは、富山だけではない。石川、長野、新潟などにも学校運営に取り組んでいる有力塾があり、北陸・甲信越地域を特徴づけるビジネスモデルとなっているのだ。