「民事不介入」の原則も今は昔
近い将来、AIは人間の仕事を奪う存在になるだろう。そんな予言が思わぬ形で現実になってしまった。
先月25日、読売巨人軍の阿部慎之助前監督(47)が、長女(18)への暴行の疑いで警視庁に現行犯逮捕された。翌日の会見で彼は涙を交えながら監督辞任を表明。警察まで連絡が行ったのは、生成AIの「チャットGPT」がきっかけだったことが明らかになったのである。
社会部デスクが言う。
「事件当夜、自宅で姉妹の喧嘩を仲裁しようとした阿部は、“うるさい”などと二人を叱責しましたが、長女に言い返されたことで腹を立て、彼女の襟元をつかみ投げ飛ばした。そこで彼女は、チャットGPTに“父親から暴力を受けた。どうしたらいいか”と質問して、勧められた通りに児童相談所へ電話で相談。事態を把握した児相が110番をして、駆け付けた警官が阿部を逮捕したのです」
幸い長女に怪我はなく、阿部自身も酒には酔っていたものの、過去に家庭内でDVなどの事件を起こしていなかったことから、警視庁は逮捕から4時間ほどで釈放している。
さる捜査関係者によれば、
「2025年4月に神奈川県川崎市で発覚したストーカー殺人事件では、相談されたのになぜ警察は動かなかったのかとの批判が巻き起こりました。その反省から警察はストーカーのみならず、家庭内DV、児童虐待などが疑われる場合、当事者同士が家族や交際関係にあって被害者本人が処罰を望んでいなくても、いったん加害者を逮捕した上で署に連行して事情を聞く方針を取っています。今回、警視庁も阿部に同様の対応をしたわけですが、送検先となる東京地検では、家庭内トラブルによる案件が激増しても多くは不起訴になっています」
身内同士のトラブルで事件性がないとなれば警察は逮捕しない。そんな“民事不介入”の原則は、とっくに昔話と化しているのだ。
そんな事情はともあれ、現役監督の逮捕は大きく報じられ、事態の収束に向けて球団は迅速に動いた。
「深夜に渋谷署を出た阿部は、球団職員に付き添われ巨人軍の定宿である東京ドームホテルに隔離されました。同じ頃、阿部邸では球団の法務部長が夫人と面会しています」(先のデスク)
巨人軍は阿部夫妻双方から聞き取りを行った上で、件の会見を開いて騒動に幕引きを図ろうとしたのだ。
ところが、“涙の会見”で阿部の代理人が長女の手紙を読み上げたことで、世間の風向きは大きく変わる。
冒頭で触れたように、彼女はチャットGPTに頼ったことを明かした上で〈警察が来て一番驚いているのは私自身です。父が目前で連行される姿をみて、私は泣き崩れてしまいました〉〈父とはすでに仲直りをしておりますので、ご安心ください〉などと綴った。
本来は“被害者”のはずの長女が、父を警察に突き出すつもりはなかったと釈明したのはご存じの通りだ。
これには賛否両論が巻き起こり、巨人ファン有志が阿部の「監督復帰」を求めるオンライン署名活動を始めた。東京ドームの収容客数である4万3500人を目標に始まったが、開始からわずか2日ほどで13万人を超えたのだった。
教室から私語が消えた理由
スポーツ紙デスクが言う。
「署名活動に賛同する人の多くは、長女がAIの助言を受けて児相に相談した結果、警察や球団が親子喧嘩に介入して社会的制裁を下したのは妥当なのかと、杓子定規とも取れる今回の対応に疑問を持っています」
ファンのみならず、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(56)も「誰も幸せにしない」と阿部の監督辞任に疑問を呈したが、著名人の“応援団”は他にもいる。
映画『ゴジラ-1・0』で米アカデミー賞に輝いた映画監督の山崎貴氏(61)は、SNSでこう述べた。
〈この事件はAIに惑わされる人類って意味でも、人間の力で元に戻さないといけない奴だと思う。何より、このままじゃ娘さんが深い傷を負うことになりそう〉
米オープンAI社が開発したチャットGPTが、ネット上で誰もが無料で使えるようになったのは2022年のことである。その間にAIは子どもたちを支配して、令和の親子関係に劇的な変化を起こしつつある。
今回の事件で注目を集めた児相が、被害者となった児童を一時的に保護する先は民間の自立援助ホームだ。
都内のホームで働く女性スタッフに聞くと、