若手地方公務員の退職が、とどまることを知らない。総務省の調査によると、2023年度に自己都合で退職した40歳未満の地方公務員(一般行政職)は9743人に上る。10年前(2891人)と比べ、実に3.4倍の増加だ。
「公務員は潰しがきかない」と揶揄されたのは過去の話。もはや「公務員の転職」は、キャリアの選択肢として当たり前の時代になりつつある。しかし、その実態はあまり語られてこなかったのではないだろうか。
そこで、本記事では20代、30代で県庁を飛び出した二人の転職経験者の実体験をもとに、「公務員の転職のリアル」を紐解く。併せて、副業も含めた公務員の多様なキャリア形成の意義と可能性を探ってみたい。【堀尾大悟/ライター】
民間に次のキャリアを求めた「元県庁職員」
今回、民間企業への転職を経験した、二人の元地方公務員に協力をいただいた。
一人目は、猪俣菜央さん(38歳)。新卒で埼玉県庁に入庁後、福祉部高齢介護課、副知事秘書、企画財政部企画総務課(政府要望、全国知事会など広域調整)を歴任。入庁5年目、27歳で転職を決意した。
その猪俣さん、実は入庁する前から転職を意識していたという。
「大学で行政学を専攻し、『硬直した行政組織を内側から変えたい』という思いがありました。そのためにはまず組織の『中』を知る必要があると考え、県庁を選んだんです」……