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進むも退くも地獄の「消費減税」は高市政権の命取り 「ポスト高市」に備え始めた自民党の行方

2026年7月28日


<span>進むも退くも地獄の「消費減税」は高市政権の命取り 「ポスト高市」に備え始めた自民党の行方</span>
今後、自民党の大物OBも巻き込みながら政局が流動化する展開もあり得る

独断専行で知られる高市総理が、消費減税については「国民会議の議論に委ねる」として決断を先送りにしてきた。減税を決めればさらなる円安を招き、逆に見送れば「公約違反」を批判されて支持率が低下する可能性がある。支持率頼みの政権が世論の支持を失えば、与党内ではポスト高市に向けた動きが一気に表面化するだろう。

「総理の機嫌を見計らって国会出席を頼むのは骨が折れる」

「なんだか潮目が変わってきたな。世論が引いてきた感じがする」

 ある政界関係者がこんな言葉を漏らした。話題は高市早苗内閣の支持率の低下だ。2月の解散総選挙で大勝した高市総理だが、直近の内閣支持率は調査機関によっては緩やかな下降曲線を辿っている。

 時事通信の調査では前月比5.3ポイント減の49.0%。ANN(テレビ朝日系)は10.9ポイント減の49.2%、毎日新聞に至っては10ポイント減の41%にまで下落。高い支持率を背景に、麻生太郎自民党副総裁ら与党幹部も高市に遠慮してきた「高市一強」とも呼ばれる政治状況が、確実に変わってきたと言って良いだろう。

 支持率下落の原因については、以下のように諸説飛び交っている。

・「改正皇室典範」の審議の進め方が拙速だったこと

・総裁選などでの“中傷動画”問題を巡って高市が国会への出席を拒んできたこと

・自民党税制調査会の「インナー」と呼ばれる幹部の小渕優子元経産大臣が辞意を漏らしたほか、「国旗損壊罪」法案の採決で岩屋毅前外務大臣が棄権するなど、足下の自民党で“高市離れ”が顕著となってきたこと

 いずれにしても、内閣支持率の急落は政界で大きな関心事となっている。

蓮舫「総理、国会への出席はお嫌ですか」

高市「嫌ではございません」  

蓮舫「総理の予算集中審議への出席率が歴代総理と比べるとはるかに低水準。石破前総理と比べても3分の1、何でこんな少ないんでしょうか」

 7月17日の参議院予算委員会では立憲民主党の蓮舫議員から、高市は国会への出席の少なさを皮肉交じりに指摘された。

高市「国会の運営は国会でお決め頂くことでございます。国会審議の重要性は十分に分かっております。(国会に)呼ばれたらお伺いしているということでございます」

 国会に呼ばれたら出席するという考えを強調した高市だが、中傷動画疑惑が取り上げられた先月中頃には、ある与党関係者がこんなことをこぼしていた。

「総理が機嫌の良い時を見計らって(官房)副長官に(総理の国会出席を)頼まなければいけないから骨が折れる」

 高市が中傷動画問題の追及を避けていたことは間違いないようだ。また、「立法府の総意」としてまとめた合意文書にはなかった、〈皇族として養子に迎えた旧宮家の男系男子の子孫に皇位継承権を認める〉ことをにわかに盛り込んだ皇室典範改正にしても、議会軽視であるとの誹りは免れない。こうした誠実さを感じさせない姿勢に世論が離れ始めた部分もあると思う。しかし、これらよりもさらに大きな要因があるのではないか。

「消費減税」決断のリミットは8月上旬

 それは、消費減税論議をはじめとする経済対策のまずさだ。

高市「食料品の消費税率をゼロにしたいと申し上げましたけれども、いま国民会議に議論を委ねております。できたら夏前に議論が終わって必要な法整備に取りかかりたかったのですが、8月の頭ぐらいでしたら十分に作業的に間に合います」(7月15日の党首討論にて、国民民主党の玉木雄一郎代表とのやりとり)

 今年2回目となる各党党首らとの討論で、高市は食料品などの消費減税について8月上旬までに決めたいという考えを示した。高市の肝いり政策である消費減税について、永田町や霞が関では、6月下旬にも決定すると見られていた。しかしその舞台となる社会保障国民会議での議論は遅々として進んでいない。

 自民・維新が主張する〈2年間食料品などの消費税を1%に削減する案〉について、国民民主党や中道改革連合などの野党は反対姿勢を崩しておらず、結論を先送りせざるを得ない状況に追いやられている。

 しかし、国民は高市のこうした対応に違和感を抱かないだろうか。誰にも相談せず1人で衆議院の解散を決断し総選挙に打って出たように、高市には周囲の反対を押し切ってでも物事を決めたがる政治家という印象が強い。その高市が、消費減税についてはなぜ指導力を発揮せずここまで時間をかけるのか。

 おそらく、為替などのマーケットにどのような影響を及ぼすのか見極めがついていないのだろう。7月22日、ドル円相場は一時1ドル163円台を記録した。実に40年ぶりの円安水準である。

片山さつき「必要があればいつでも適切に断固たる対応をいたします」(22日)

 片山財務大臣は記者団に為替介入も辞さない姿勢を示した。高市が総理に就任して9カ月が経つが、この間一貫して円安が進行している。「高市は積極財政に転じる」という市場の見方に加えて、日本の財政状況の悪化を問題視し、市場が円売りに転じているのだ。

 円安傾向の中で消費減税を行った場合、仮に2年の期間限定としても10兆円程度の財政負担が生じる。その財源の目処は立っていない。

「高市にとって、博打みたいなものだ」(政界関係者)

 財源の見通しもないまま消費減税を決めたら、日本の財政を不安視する市場がさらに円売りを浴びせかけてくるのではないか。そうした懸念に直面した高市は、「国民会議の結論に委ねる」という消極的なスタンスに後退しているように見える。

国民会議の小野寺議長もやる気なし?

 こうした中、15日の党首討論で筆者が「おや」と思った高市のやりとりがあった。チームみらい党首の安野貴博参院議員との討論だ。今年の衆院選挙で、チームみらいは消費減税よりも社会保険料の引き下げを優先することを訴え、世論の支持を得て11議席を獲得し躍進した。安野は党首討論で、円安や金利高が進んでいる状況を踏まえて消費減税を断念するよう高市に迫った。

安野「総理が思いを持って食料品消費税ゼロを掲げてきたことは承知しているし、一方で衆院選のときとは大きく状況も異なってきている。『君子豹変す』という言葉がある。ぜひ豹変して頂きたい」

高市「『君子豹変す』というのは私も大切にしている言葉です。ぎりぎりまで、熟議を重ねて、実行する直前まで最善の方策を考える。その上で、先に言ったことが違っていたら改めて、最善の方策をとる。これは当たり前のことでございます」(強調部分は筆者)

 この発言は、捉えようによっては消費減税を見送る可能性を示唆したとも言える。実際に会場で聞いていた自民党議員は「消費減税の実現の可能性は五分五分かもしれない」と語ったほどだ。

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