次々と積み上げられている対中経済圧力措置
ドナルド・トランプ政権は11月の中間選挙を前に、対イラン政策の軸足を軍事攻撃から経済圧力へ移しつつある。トランプ大統領は8月9日のアクシオスとのインタビューで「現状は控え目に対応している(low-keying it)」と述べた。スコット・ベッセント財務長官は8月13日、来週中にもイランを経済的に孤立させるべく、「前例のない措置」を講じると発言した。AP・NORC調査ではイラン対応への支持率が28%まで低下し、共和党内では武力攻撃長期化への懸念が強い。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の社説も、海上封鎖がイラン経済に1日あたり推定4億3,500万ドルの損失を与えているとして制裁による圧力継続を推す。
中国はイラン輸出原油の約9割を購入し、その大半は人民元建てで決済されている。イランの資金源を断てば問題は必然的に中国へ行き着く。ベッセント氏は4月15日、中国の銀行2行に書簡を送り、口座にイラン資金が流れていると証明されれば二次制裁を科すと警告した。続いて米財務省は4月24日、中国の製油大手恒力石化を制裁対象に加え、これに対し中国当局は5月1日の大型連休入り前、制裁対象の国内精製会社5社への新規融資を一時停止するよう大手銀行に指示した。制裁対象企業への融資継続は当該銀行への二次制裁につながりかねず、リスク回避が狙いとみられる。ただし、中国商務部は5月2日、米国による5社への制裁を認めない阻止命令を発令した。米国の対中制裁に対し、この種の法的対抗措置が取られたのは初めてだ。融資は静かに止めつつも、対外的には強気の姿勢を崩さない対応だった。