ITバブル期との「共通点3つ」
米長期金利が下がらない。米10年債利回りは10月1日、一時5.362%と2002年以来の高水準に達した。米30年債利回りも一時5.68%と、2002年以来のレベルに到達。9月29日にはニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁が、9月の利上げを踏まえれば次の一手を急ぐ必要はないと述べ、30日発表の米8月PCE価格指数も市場予想を下回った。FF先物市場では10月の据え置き予想が6割強へ逆転し、政策金利の先高観は後退している。それでも、長期金利は上昇途上にある。
金利上昇の背景は、①イラン戦争に伴う原油高とインフレ再燃、②米連邦準備制度理事会(FRB)を始めとする主要中銀の利上げ、③財政赤字の拡大に伴う国債増発、④AI関連の起債増による投資家需要の奪い合い、⑤堅調な景気――などが考えられる。ホルムズ海峡の封鎖が長引き、WTI原油先物は9月15日に107.02ドルまで上昇。インフレ再燃を受け、FRBは翌16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年7月以来の利上げに踏み切った。
この局面には、ITバブル末期の1999~2000年【チャート1】との共通点が3つある。利上げを説明する論理、生産性への楽観、そして米国債の買い戻しだ。1つ目について、ケビン・ウォーシュFRB議長は9月の会見で、今回の利上げを「緩和の一部を取り除いた」と説明した。アラン・グリーンスパンFRB議長(当時)も1999年6月の声明で、危機対応の利下げにつき「調整の全幅を維持する必要はもはやない」と述べ、利上げに転じている。2つ目は、生産性革命を信じた「ニューエコノミー」論と、ウォーシュ氏が唱える「長期成長」の重なりだ。