「ベンダーロックイン」という言葉をご存知だろうか。
特定ベンダー、つまりIT(情報通信)会社にシステム開発を依頼した場合、その会社の独自仕様に依存した設計になってしまい、他ベンダーのシステムへの乗り換えが困難になることを言う。デジタル庁の創設など霞が関のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化に取り組もうとしている日本政府が直面しているのが、このベンダーロックイン問題だ。
国の多くのITシステムは入札によって業者選定が行われるが、その大半がNTTデータやNEC、日立製作所、富士通など、「ITゼネコン」と呼ばれる企業に落札される。こう呼ばれるのは、公共工事を受注する建設会社のゼネコンと同様、自社で受注した物を自社で完成させるのではなく、傘下の「下請け」や「孫請け」などに「投げて」工事を完成させるところが、そっくりだからだ。システム開発も基幹設計をITゼネコンがやっていればまだしも、それすら下請けなどにやらせている事例も少なくない。建設業で言うところの「丸投げ」である。
本当の狙いは「保守管理費」
入札の結果、同じ仕様で価格の安いベンダーに発注することになるが、ここで「ベンダーロックイン」が大きな意味を持つ。最初の納入価格は、落札しなければ話にならないので、ライバルに負けない低価格を提示する。いったん落札してしまえば、保守管理費が毎年入ってくるので、そこで取り戻せばよい。それがITシステム開発の世界の一種の「慣行」として定着している。……