現状で「ナンガラ」の沈没原因は不明だが、同艦が1981年に就役した老齢艦であると知り、率直に「私なら乗りたくないな」と思った。81年といえば筆者が海上自衛隊に入隊した年で、すでに40年前だ。その頃の海自の潜水艦隊は16隻体制、現在は22隻体制となっている。日本では毎年1隻、三菱重工と川崎重工が交替で新しい潜水艦を建造し、かわりに最も古い1隻が退役する仕組みになっている。つまり、日本の潜水艦はどんなに古くても20年前後で引退するのである。
海自の水上艦の平均使用年数は30年以上だから、潜水艦を20年でスクラップにするのはもったいないという声もある。しかし、それは水圧の恐ろしさを知らない人たちの意見だ。水圧は水深に比例するので、潜水艦と水上艦とでは船体への負荷がまったく異なる。水圧がかかると、鉄でできた船体は圧縮と膨張を繰り返す。針金を何度も曲げたり伸ばしたりすると最後は折れてしまうように、船体も応力を繰り返し受けることで金属疲労により脆くなる。
「ナンガラ」は2010年から2年をかけて韓国で改良工事を施され、安全潜航深度が240メートルから257メートルに向上したという。とはいえ、船体そのものが老朽化しているため、本当にスペック通りの能力を有していたのか定かではない。……