『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が2021年7月30日「Natural gas crunch sends prices hurtling higher」と題して、欧州でもガス価格が上昇し、家計にも打撃を与えるようだ、と報じている。
記事の要点は後述するとして、今回の欧州におけるガス価格高騰の背景には、ロシアがこの春以降「追加供給をしていない(通常応じている契約数量以上のガス供給を行っていない)」という問題もある、という。これはロシアからドイツへの「ノルドストリーム2」(NS2)プロジェクトの有益性を西側に認めさせるべく、ロシアが意図的に行っているのだ、という指摘もあるとしている。
米国LNG製造能力の限界が裁定取引の障害に
もちろん、天然ガスも「コモデティ」なので、地域間で価格差があればアービトラージ(裁定取引)が働き、価格は収斂される性質を持っている。だが、アジアの需要も旺盛で、欧州向けLNGスポット価格も高騰している。米国産LNGも、これ以上の追加供給ができない情勢だ。
過去2年間のスポット価格の推移は添付グラフを参照していただきたいが、当該『FT』記事によると、東アジア向けスポットLNG(Japan-Korea-Market=JKM)価格(オレンジ色)は、昨年末から今年初めにかけての「悪夢」を思い出させる15ドル/MMBTU(100万英熱量単位)水準にまで上昇しているとのことだ(2021年1月13日『「LNGスポット」寒波で高騰「日本停電」可能性と理由』)。……