ウクライナ侵攻で行き詰まったウラジーミル・プーチン大統領が中国との連携に活路を求めているのは、ジョー・バイデン米大統領が指摘するまでもなく明らかだ。それは急場しのぎの兵器や物資の供給だけでなく、長期的なロシアの生存基盤、すなわち「ユーラシア同盟」の構築を睨んでいるといえる。
では、習近平総書記は国際的に孤立する手負いのプーチン大統領に救いの手を差し伸べるのか? 今の局面だけをみれば、ロシア支援は中国にとってマイナスでしかない。だが、中国がロシアを見捨てることはないだろう。プーチン政権が崩壊し、ロシアが弱体化すれば、中国は単独で米国陣営に対峙しなければならなくなるからだ。「弱った狼でも番犬にはなる」というのが中国にとってのロシアの意味であり、「中華民族の偉大なる復興」という習総書記の夢の実現には、たとえ捨て石であってもロシアは欠かせないのである。
金融制裁はグローバル経済システムの脆弱化にも繋がり得る
対ロシア経済制裁で今、最も大きな効果をあげているのは金融制裁といっていい。ロシア最大手のズベルバンクと大手のガスプロムバンクを除く主要銀行は米主導の国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除され、ロシアの中央銀行や国有企業、大手企業も資産凍結を受け、ロシアは貿易決済や対外債務返済で困難に直面している。
だが、中国との人民元決済のルートは生きている。ロシアの金融機関は中国が構築した「人民元国際決済システム(CIPS)」を利用できる。CIPSには103カ国・地域の1300行近くの銀行が加盟しており、金融制裁回避のひとつの方法になるだけでなく、中国人民銀行が実用化を進めるデジタル人民元の受け皿となれば、SWIFTよりも効率的なクロスボーダー決済が可能になる。大手クレジットカード会社のマスター、VISAはロシアで発行したカードのグローバルな利用を止め、その代わりを年間の決済総額世界トップで、176カ国・地域で利用可能(2020年1月時点)な中国の銀聯カードが果たすようになり、ロシア人向けの新規発行が急増している。……