政治

ジャクソン判事を待つ「米最高裁の保守化」と、それが加速する「分断社会」

2022年4月19日

連邦最高裁233年の歴史で初の黒人女性判事が誕生するが、その承認公聴会で投げかけられる質問には、米国社会を覆う根深い「分断」が露呈した。深刻なのはその分断を、保守化が進む最高裁自身が加速している構造だ。今秋の中間選挙あるいは2024年大統領選を控え、同性婚や〈産まない権利〉など、激論確実な争点がリベラル派ジャクソン判事を待っている。

承認公聴会でも「分断」が浮き彫りに

 もう2カ月近く、世界のニュースはウクライナ危機ばかりに占められている。ワシントンもその話題で持ち切りだ。その結果、スティーブン・ブライヤー(Stephen Breyer)最高裁判事の引退表明に伴い、ジョー・バイデン大統領が連邦最高裁の判事に指名したケタンジ・ブラウン・ジャクソン(Ketanji Brown Jackson)の承認公聴会が3月下旬に上院で行われ、議論を呼ぶ内容だったにもかかわらず、これまでの判事たちのような世間の注目を浴びることはなかった。

 4月7日、連邦議会上院での採決は党派によってくっきり分かれたが、賛成多数(53対47)となり、ついにジャクソンの最高裁判事就任が決まった。ただ、最高裁判事9人のうち保守派6人に対してリベラル派が3人という構図が変わることはないだろう。リベラル派の前任者から、リベラル派の彼女に入れ替わるに過ぎない。しかしながら、彼女の指名や承認公聴会で(上院議会では候補者承認のため、投票が必要となる)浮き彫りになったのは、今日の連邦最高裁判所やアメリカ国内における思想、政治面での深刻な分断である。そして、こうした最高裁の分断こそが、国民の社会生活や政界に広範な影響を及ぼしていくといえるだろう。

 ジャクソンが承認されたことは歴史的だ。連邦最高裁の設立以来233年で115人がつとめたなかで、女性として6人目、かつ黒人女性として初の最高裁判事となる。また、非白人の判事としては4人目だ。いまや国民の3分の1がアジア系か黒人、ヒスパニックという国ではあるのだが。

 ジャクソンの承認公聴会は、最近行われた他の最高裁判事のケースと同じく、候補者に対して司法哲学を問う場とはならなかった。むしろ上院議員、今回の場合は共和党議員らが、今年秋の中間選挙と2024年の大統領選を有利に運ぶため、あえて賛否が割れる問題を持ち出す場面が目立った。……

おすすめの記事

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

おすすめの動画

すべて見る
戻るボタン 次へボタン

ニュースレターを購読する

新潮QUEは、「問う力」を養っていくためのサブスクリプションサービスです。

無料登録する