政治

ロシア対NATOの最前線「スヴァウキ・ギャップ」の戦略的価値――同盟の信頼性と「導火線」

2022年5月17日


<span>ロシア対NATOの最前線「スヴァウキ・ギャップ」の戦略的価値――同盟の信頼性と「導火線」</span>

冷戦終結以来、最もリアルに「ロシアとの戦争」の可能性を突きつけられているNATO(北大西洋条約機構)諸国。その最前線に立つのが、旧ソ連からの独立後も国内に多くのロシア系住民を抱えるバルト三国である。軍事的には極めて脆弱なバルト諸国の国境線だが、それゆえに同盟の信頼性を維持するため種々の手段が講じられている。

 

 ロシアのウクライナ侵略(以後「ウクライナ戦争」という)はロシアの思惑とは裏腹に長期化しつつあり、ウクライナの被害は刻々と拡大している。2008年のジョージア紛争、2014年のクリミア半島併合とこれに続くウクライナ東部ドンバス地方への介入など、21世紀のロシアはかつての帝政ロシア、あるいはソ連時代の版図を回復しようというあからさまな領土的野心に基づいて行動してきた。

 現在ウクライナ戦争は隣国モルドヴァへ拡大するリスクが指摘されており、またスウェーデンとフィンランドがNATO加盟に向けて国内で議論を進めるなど、ここにきて欧州安全保障の地図が大きく塗り替えられつつある。

開戦数日でバルト諸国の首都を制圧

 同様にNATO加盟諸国も近年集団防衛メカニズムの強化を進めているが、その中でもロシアの脅威を最も深刻に受け止めている国家群はリトアニア・ラトヴィア・エストニア、いわゆる「バルト三国」であろう。第二次世界大戦初期にソ連に併合され、1991年に独立を回復したバルト三国は、紆余曲折を経て2004年にNATOに加盟した。その一方で1997年の「NATO・ロシア基本文書」(NATO/Russia Founding Act)に基づく緊張緩和を目的として、バルト三国を含む旧東欧のNATO加盟国における大規模なNATO部隊の常時駐留はなされていない1。 ……

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