政治

ガスパイプライン輸送停止で欧州を揺さぶり始めたロシア

2022年5月17日

ロシア産エネルギーの供給状況には、制裁というロシア「受け身」の要素だけでなく、輸出インフラの操業妨害や輸出削減・停止というロシアのイニシアチブによる揺さぶりが強まっていく可能性がある。ウクライナのガス輸送会社「GTSOU」のガス圧送設備に発生した操業困難や、「ヤマル欧州パイプライン」の停止と今後の展開が欧州に与える影響が注目される。

 ロシアがウクライナに侵攻開始してから間もなく3カ月になる。この間、国際エネルギー情勢は地政学リスクとロシアのエネルギー供給に対する不安感で大揺れの状況が続いている。

   3月7日には原油価格が瞬間風速で130ドルを突破するなどの著しい急騰を示したが、その後は100~110ドル程度の高値圏での価格推移が続いている。欧州ガス価格は、原油高騰に合わせて一時は原油換算400ドル超の暴騰となったが、最近は同200ドル弱程度の推移が続いている。

「対ロ制裁」以外に加わる供給支障の2つの可能性

 価格高騰と市場不安定化の中心にあるのが、ロシアのエネルギー供給の先行きに関する不安感である。輸出シェアで石油11%、天然ガス25%、石炭18%を占めるロシアの輸出が市場から失われるのではないか、という読みに市場が反応しているのである。

 ウクライナ危機の経過において、ロシアのエネルギー輸出に何らかの支障・途絶が発生するとすれば、次の3つの可能性が考えられてきた。すなわち、①欧米日などによる対ロ制裁によってロシアのエネルギー取引に制約が生じる、②戦時下で輸出インフラに損傷が発生する、あるいは操業困難となる、③ロシアが自ら輸出を削減・停止する、の3つである。……

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