政治

ロシア・ウクライナ戦争:「領土問題が終結のカギ」はなぜ間違いか

2022年7月26日

将来に亘ってロシアの侵略を防ぐことが重要なウクライナにとって、領土割譲で戦争に決着がつくとの声ほど的外れなものはない。必要なのは「ウクライナの個別的自衛権を行使する実力」による抑止を、NATO構成諸国はじめ国際社会が保障する体制だ。

 ロシア・ウクライナ戦争について、このところ「年内に終結」という趣旨の発言が、ウクライナ政府高官から繰り返し発信されてきている。

 これには、「まだ半年は戦争を続ける」という意味がある。欧米諸国からの兵器供給を受けているウクライナ政府には、今年の後半に戦況を改善する見込みがある、ということだろう。他方、「半年もやれば戦争は終わる」というメッセージには、当面の兵器供給を受けたその後に劇的な改善は見込めないかもしれない、という含意を見ることもできる。

 巷では、ウクライナがどこまで領土の回復を目指すか、あるいは領土の割譲を認めるか、という言説ばかりが流通している。まるでウクライナの目標設定によって戦争の終結の仕方が決定されることが自明の前提であるかのようだ。ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官のような領土の割譲など述べていない人物の言葉を、あたかも“領土の割譲を言った”と解釈してしまう風潮も顕著だ。いずれも的外れである。

 停戦合意の可能性は、「時間軸」の中で見出していくものだ。今、即日停戦しないということは、永遠に戦い続ける、ということとは違う。……

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