医療・ウェルネス

コロナ対策の医療技術が米国の「自己決定権」を変え始めた

2022年10月4日


<span>コロナ対策の医療技術が米国の「自己決定権」を変え始めた</span>
オンライン診療の拡大が世界を大きく変えつつある (C)Andrey_Popov/shutterstock.com

アメリカではコロナ対策で前進した医療制度・技術が社会インフラ強化に繋がり始めた。一方、「患者・国民」視点を欠いたままの日本は、技術の社会実装以前の段階に止まっている。医療とは究極的には患者と医師の「自己決定権」の問題だという認識が欠かせない。

 9月18日、ジョー・バイデン米大統領は、テレビ放映されたインタビューで、新型コロナウイルスの流行は終わったと表明した。ポストコロナの世界は、これから大きく変化する。コロナ対策で開発された技術が社会実装されるからだ。本稿では、この問題を論じたい。

オンライン診療が緩和するイデオロギー対立

 既に変化は具現化している。その1つが、中絶禁止を巡る米国社会の対応だ。今年6月、米連邦最高裁判所は、妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆した。米国では中絶を認めるか否かを巡り二分され、国を挙げた議論が巻き起こっている。

 ただ、米国で「中絶難民」は大きな問題とはなっていない。その理由は2つある。1つは、中絶の手段が手術から薬物に変わっているということだ。米国では2000年にミフェプリストンとミソプロストールという内服薬を用いた中絶が認可された。2019年に行われた中絶の54%は内服薬によるものだ。

 もう1つは、コロナ禍でのオンライン診療の普及だ。内服薬を用いた中絶が急増したのは、コロナ流行により、医師との対面診療の要件が緩和され、オンライン診察後に中絶薬を郵送することが認められたからだ。米国在住の大西睦子医師は、……

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