中間選挙を乗り切り強気のジョー・バイデン米政権だが、閣僚の中で誰に注目すべきかとワシントンウオッチャーに聞けば、誰もがジーナ・レモンド商務長官と答えるはずだ。51歳。ロードアイランド州初の女性知事から政権入りした。小柄、細身だが、芯の強さを感じさせる顔立ちだ。
バイデン政権では当初厚生長官への起用説もあったが、本人が拒否。もっと重要な仕事を望んだとみられ、財務長官説も流れたが、これについては大物のジャネット・イエレン前FRB(米連邦準備理事会)議長が就任したため実現しなかった。
商務長官とは本来地味なポストだ。米国の重要閣僚は国務長官、国防長官、財務長官と決まっている。商務省は政府と産業界との調整や特許付与、国勢調査などの統計業務が主な仕事だが、自由を重んじ、かつ圧倒的な力を持つ米産業界は政府の意向など気にしない。だから商務長官が目立つことはほとんどない。1990年代のビル・クリントン政権時代は、商務長官が事故死するとミッキー・カンター通商代表部(USTR)代表が商務長官を政権の任期切れまで1年近く兼務したほどだ。
しかし、レモンドは今、米国の最重要課題である中国との「新冷戦」勝利の決定打となりうる半導体やAI(人工知能)政策の司令塔であり、ロシアの対ウクライナ戦争遂行能力を破壊するためのハイテク制裁の元締めである。米国の覇権維持の要と言えるのだ。……