政治

鶴岡路人×東野篤子|「宙ぶらりんのウクライナ」問題をどうするか――二年目に入ったウクライナ侵攻 #1‐1

2023年4月8日


<span>鶴岡路人×東野篤子|「宙ぶらりんのウクライナ」問題をどうするか――二年目に入ったウクライナ侵攻 #1‐1</span>

 ロシアによるウクライナ侵攻は二年目に入り、現在も激戦が続く。この戦争をどのように捉えればよいのか。ヨーロッパの安全保障を専門とし、新著『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書)を刊行した鶴岡路人氏が、ヨーロッパの国際政治が専門で、ウクライナ研究会副会長も務める東野篤子氏とともに、「ウクライナはヨーロッパなのか、違うのか」という問題を考える。

***

「宙ぶらりん」のウクライナ

東野篤子 ご著書の始めに「そもそも、ウクライナは欧州である。同国のEUやNATOへの加盟問題は、それ自体が論争的ではあるものの、ウクライナが欧州の国であり、ウクライナ人が欧州人であることへの異論はあまりないようにみえる」(10ページ)とあります。私はこれが当たり前のこととして認識されず、当たり前を前提としたヨーロッパの政策が取られなかったことが、ウクライナの危機を生み、ロシアによる侵攻を防げなかった原因ではないかと思うんです。

 本書では「この戦争を防げなかったのか」という点にも紙幅が割かれています。「なぜ起きたか」「防げなかったのか」の二本立てで考えることに大賛成ですけれども、私は「なぜ起きたか」は長期的に捉えるべきで、「防げなかったのか」の方は、それでも何かできることはなかったのだろうかという問いを立てる必要があるとも考えます。この「防げなかったのか」「何ができたのか」の中には、ヨーロッパ(EU=欧州連合、NATO=北大西洋条約機構)のウクライナに対するアプローチに相当な問題があったことも含まれます。つまり、「ウクライナは欧州だということに疑問はない」というのは、ウクライナ側から見れば「本当にそう思ってくれていたなら、何か打つ手があったのでは」と思う部分もあるのではないかと。……

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