ロシアによるウクライナ侵攻は二年目に入り、現在も激戦が続く。この戦争をどのように捉えればよいのか。ヨーロッパの安全保障を専門とし、新著『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書)を刊行した鶴岡路人氏が、ヨーロッパの国際政治が専門で、ウクライナ研究会副会長も務める東野篤子氏とともに、ウクライナの安全を確保するための「NATO加盟」という難問を考える。
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ヨーロッパの「仲間」ではなかったウクライナ
鶴岡路人 2022年2月のロシアによる一方的なウクライナ侵攻から一年が過ぎて、この一年の状況を見つめながら考え書いた本の中で、この戦争について「なぜ起きたか」「防げなかったのか」という視点にも触れましたが、「防げなかったのか」に関して突き詰めれば、結局、NATOにもEUにも入れなかったウクライナという事実に注目せざるをえません。
EUにとってウクライナは、はっきりいって「仲間」ではなかった。だからこそ、侵攻以降そしてウクライナが加盟申請をしてから、「ウクライナはヨーロッパのファミリーの一部」だといういい方が、実のところは新しく浮上してきた。これはおそらくウクライナ人にとっても同様で、ようやくいってくれたということですね。とはいえ、マイダン革命以降、とりわけ2017年のEU・ウクライナ連合協定の発効を経て、EUとウクライナとの関係はかなり濃密な関係になりつつあったことも確かだと思うんです。ウクライナだって、EUからさまざまな支援を受けるのはいいことだと意識していたはずですし。……