経済・ビジネス

GEの「脱・コングロマリット・ディスカウント」なぜ東芝はできないか(前編)――GEの救世主

2024年12月5日

GEと東芝――2つの巨大エレクトロニクス企業が深刻な経営危機に陥ったのは2017年。双方とも巨額を投じたM&Aの失敗で破綻の瀬戸際に追い詰められた。両社は膨張した子会社群を整理・再編し「コングロマリット・ディスカウント」(複合企業の企業価値低迷)を解消するという共通の再建戦略を打ち立てたが、本体の3分割をはじめ大掛かりなグループ再編を終えたGEに対して、東芝は再建の道筋が定まらない。この違いはどこにあるのか、前編ではGEのローレンス・カルプに着目する。

「エンジンの納品が前期比20%以上改善するなど、大きな進歩を遂げた。独立企業としての最初の年に堅実な成果を挙げられると確信している」

 10月22日、2024年7〜9月期決算を発表した米GEエアロスペース会長兼最高経営責任者(CEO)のローレンス・カルプ(61)は、米ボーイングの長期ストや熟練労働者不足によるサプライチェーンの混乱など航空機市場に逆風が吹く中、受注が前年同期比28%増、調整後EPS(1株当たり純利益)が同25%増と前四半期までの好調な業績が通期も続くことを自信たっぷりに語った。

 カルプが「独立企業としての最初の年」と殊更に強調したのには理由がある。GEは2023年1月に医療機器事業を「GEヘルスケア・テクノロジーズ」(GEHC)に分離・独立させたのに続き、2024年4月にはエネルギー事業を「GEベルノバ」(GEV)に分社化するとともに、GEの存続会社として残った本体を航空・宇宙事業を手がける「GEエアロスペース」に商号変更。このいわゆる「会社3分割」は、2018年10月にGE史上初めて外部からCEOに迎えられたカルプが採用した経営再建策であり、ジャック・ウェルチ(1935〜2020年)、ジェフ・イメルト(68)両CEO時代の多角化で膨張した事業分野を整理・再編し、組織の簡素化によって意思決定を迅速にする狙いがあった。その「3分割」が完了し、GEにとって新たな時代が始まるとの意味合いを印象づけたかったのだろう。

「ダナハー」で実現した“再生神話”

 1980年代初頭にトップの座についたウェルチはGEキャピタルなど金融分野に事業の裾野を広げ、高株価経営で一躍「名経営者」としての名声を得たが、2008年のリーマン・ショック前後から過大な金融債務がGEの業績を圧迫した。2001年にウェルチからCEOを引き継いでいたイメルトは製造業への回帰を志向し、2015年にフランスの重電大手アルストムを97億ユーロ(当時の為替レートで約106億ドル、約1兆2800億円)を投じて買収。だが、温暖化対策の高まりを背景に主力のガス・石炭火力発電タービンの需要が世界規模で減少し、GEは2018年にアルストム事業部門を含む電力関連で220億ドルの「のれん代」減損償却を余儀なくされた。……

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