日米貿易交渉が合意に至り、日本は米国に対して、半導体、医薬品、鉄鋼、造船など、経済安全保障上重要な分野を対象に、最大5500億ドル(約80兆円)規模の投資を行うこととなった。赤沢亮正経済再生担当大臣は、この5500億ドルがドナルド・トランプ米大統領の任期中(今後3年半)に動く資金であるとの見解を示している。
短期間での巨額投資が、日本にとって本当に意味を持つのか。その実効性は活用次第で大きく分かれる。仮に、この資金を有効活用できなければ、日本は深刻な経済的ダメージを被る。ただ、その一方で80兆円という外圧を好機と捉え、日本の「動かない常識」を打破できれば、日本の大きな転機となる可能性もある。
米国の「金づる」になってはならない──合意内容の早急な開示を
8月5日、トランプ大統領は日本からの5500億ドルの投資について、「我々が好きなように使える資金だ」と発言した。
これまで日本政府は、この枠組みについて、「日米双方にとって利益となる強靱なサプライチェーンを米国内に構築するため、政府系金融機関が出資・融資・保証を提供する」「日本企業や日本経済にメリットがなければ協力はできない」と説明して来た。両者の説明には、根本的な食い違いがある。仮に、この投資がトランプ大統領の主張どおりの内容だとすれば、日本にとって不利を極める合意となる。……